終戦から約7年間にわたる占領下、進駐軍関連の事件、事故が多発した。大阪大の藤目ゆき准教授
(日本近現代史)は、調達庁(現防衛省)労組が1958年9月にした全国的な被害実態調査の資料を入手。
中国地方126件の概要をまとめた。調査表の詳細は当時、ほとんど公表されなかった。
被害者や遺族の悲痛な声が生々しく記録されている。
米、英など連合国軍は52年の講和条約発効まで日本を間接統治。事件や事故の損害賠償はせず、
日本政府が見舞金を支給した。多くは泣き寝入りだったという。
調達庁労組の調査は、全国初の補償要求運動が呉市で始まったことを受け実施。国による調査、61年の
給付金支給の法制化につながった。ただ、藤目准教授によると、当時は被害や内訳の件数程度しか
公表されなかったという。
藤目准教授は約1300件に及ぶ調査表(B4判)の写しを約10年前に入手していた。
被害状況▽県や国に求める見舞金額と、実際の支給額▽生活見通し―などの質問項目に被害者や
遺族が記入する方式で、中国地方分は広島県87件、山口県39件。内訳は、交通事故101件
▽労務事故15件▽殺人・傷害事件10件―だった。
岩国市で昨年9月、米海兵隊岩国基地の軍属女性による交通死亡事故が発生。日米地位協定に基づき
軍属女性が不起訴とされ、遺族が検察審査会に審査を申し立てた。
藤目准教授はこのケースを受け、岩国を含む占領下の中国地方の被害者側の声を整理。自身が代表を務める
研究会が先月発行した書籍「アジア現代女性史」に論文として収録した。
ソース
中国新聞
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn201101290177.html 【画像】藤目ゆき准教授
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn20110129017702.jpg