大学卒業予定者の就職内定率に関して、またまた厚生労働省と文部科学省がマユツバものの数字をぶち上げた。
1月18日、今春の大学卒業予定者の就職内定率が68・8%(2010年12月1日時点)になったと発表したのだ。
68・8%という数字は、調査が開始された1996年以降、最低となった09年度の同時期をさらに4.3%下回る。
しかもこのデータは以前報じたように、水増しの疑惑があるのだ。
「文科省の調査は内定者÷就職希望者数で内定率を弾き出しますが、そのサンプルになった大学は
全国約800校中わずか62校。しかも、その顔ぶれは東大、一橋、早慶、上智など有名校が中心。
調査の母数がもともと小さいうえに、抽出サンプルは就職に強い大学ばかりで……。
『これじゃ、公表データはあてにならない』と、当の文科省幹部がボヤいていたほどです」
(採用コンサルティング会社ブレーンサポートの木村俊良氏)
学生の就職難を目の当たりにする大学担当者も皮肉交じりにこう疑問を投げかける。
「分母を人数が一定な卒業見込み者数ではなく、流動的な就職希望者数にしている点もおかしい。
就職希望者数は例年、秋口から減り続ける。大学院進学や就職留年、バイトから正社員登用を目指す学生が続出するためです。
しかも分母が小さくなる一方で、分子に当たる内定者は中小企業の採用実績が増える分、年末から年明けにかけて大きくなる。
当然、内定率はじりじりと上がります。このままだと今年4月1日時点で、文科省公表の内定率は90%台に達してしまうかもしれません」
本当は未就職の学生が世にあふれているのに、文科省のデータは内定率9割に!?
これじゃ、まるで戦前の大本営発表と同じだ。新卒採用コンサルタントの小澤明人氏もこうバッサリ。
「大学に進路希望報告書を出さない学生は3割ほど。内定報告書を出さない学生も少なくありません。
いわば、この調査は就職課にきちんと提出物を届けるような、まじめな学生を対象にした調査。
そんな学生は企業ウケもいい。就職率が高めに出るのは当たり前なんです」
http://wpb.shueisha.co.jp/2011/01/25/2239/ >>2以降へ続く