自衛隊行事での民間人による政権批判を封じる事務次官通達問題に続き、
「自衛隊情報保全隊」の不当調査が明らかになった。
調査の実態は、民主党政権に批判的な自衛隊OBの言動から現職自衛官を遮断するものだ。
「自衛隊各種行事における国会議員の招待について」。そう題され、右上に「注意」
「平成21年12月」「大臣官房文書課」と書かれた防衛省の内部文書がある。
自衛隊の駐屯地や基地がある都道府県が選挙区だったり、議員事務所を置いていたりする国会議員以外は、
行事への代理出席などを認めない「統一基準」を設けるためのものだ。
文書は起案どまりで発出されることはなかったが、
同年9月の政権交代直後から基準策定が検討された形跡を示している。
自民党幹部は「比例選出の佐藤正久参院議員の関係者を自衛隊行事から締め出すことを狙ったのでは」と指摘する。
政権に批判的な野党議員の主張に現職自衛官を触れさせない意図があるという。
昨年11月に事務次官名で出された「隊員の政治的中立性の確保について」と題する通達にも、同じ意図がみえる。
通達は民間人に自衛隊行事での「言論統制」を強いる一方、
自衛官が部外の行事に参加することについても、政権批判が予想される場合は参加を控えるよう求めている。
この規定は、現職自衛官が佐藤氏や田母神俊雄元航空幕僚長の講演会に
参加することを監視する「根拠」とも位置づけられる。
通達後、保全隊による監視も強化された。昨年12月、田母神氏が会長の保守系民間団体
「頑張れ日本! 全国行動委員会」が都内で開いた政府・民主党に対する抗議集会について
「自衛官の参加を厳重に確認するよう改めて指示が出された」(防衛省幹部)という。
自衛官の間にも保全隊が調査に入っているとの情報は拡散しつつある。
通達は防衛省政務三役が主導したとされる。保全隊による監視も
「官僚の判断で部隊を動かすとは考えにくい」(自衛隊幹部)との見方が大勢だ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110124/plc11012401300014-n1.htm