・政治記者にとって内閣改造をめぐる取材は、国政選挙や首相交代に次ぐ「腕の見せどころ」である。
閣僚人事は、首相の専権事項であるだけでなく、人事権の行使が権力の源泉になるだけに、首相自ら
具体的な人事構想をぺらぺらしゃべることはあり得ない。
このため首相周辺や与党幹部からの情報が頼りだが、記者たちが必死の思いで聞き出してくる情報は、
まさに玉石混交。かつての自民党の派閥全盛時代のように、幹部がわざと偽情報を流して世論や
他派閥の反応を見る、といった荒技は影を潜めたが、どの情報が「玉」でどれが「石」かを見極めるのは
なかなか難しい。
さて、内閣改造も済んで報道各社の世論調査も出そろったが、菅直人首相サイドが期待したほど
支持率は上昇していない。
つい最近、ネット通販でおせち料理を注文したらイメージ写真とは似ても似つかぬ代物が
送られてきた“事件”があったが、今回の内閣改造もこれと似ている。首相は「最強の態勢を組む」と
宣伝したが、有権者には「スカスカ」にしか見えない。それもそのはず、重箱を開けたら伊勢エビも
ローストビーフも見あたらず、ライバル店のかつての名物だった与謝野馨氏だけが目立つ献立では、
「カネ返せ」となるのは当然だろう。
菅首相の人事下手と、民主党の人材難ここに極まれり、なのだが自民党も大きなことはいえまい。
政界全体が構造的な人材難に苦しんでいる。小紙の愛読者でもある仙谷氏は、官房長官退任の
前日、記者会見でこう語った。
「民主主義をよりましな制度として持続させるためには、人材養成に意識的に資源を投入して
いくことが政党にも地域社会にも必要だと改めて感じている」
今後も多くを望めぬ菅政権ではあるが、国家を担う人材養成機関創設には期待し、どう
道筋をつけていくのか注目していきたい。(政治部長 乾正人)(抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110119/stt11011909070032-n1.htm