★食品輸出との期待と現実
農産物や加工食品の輸出を促進しようという機運が高まっている。
TPP(環太平洋経済連携協定)の議論や海外での日本産品への人気が背景にある。
しかし、曖昧な安全基準や不十分な国内制度が食品輸出の壁になっている。
●衛生証明書を出す機関がない
経済産業省の幹部は「輸出相手国の問題よりも、日本の仕組みが食品を輸出する前提になっていないことが深刻だ」と指摘する。
衛生証明書を発行する機関がないのは、問題の一端にすぎない。
経産省幹部は「日本産の食品や農産物の強みと思われている安全性が問題になるケースもある」と話す。
「日本の食品安全基準は意外とゆるい」とある流通関係者はこう語る。
「日本では『保存料』や『香料』などと表示すればよくても、海外では細かな成分を求められることもある。
また、海外では禁止されている増粘剤などが問題になるケースも多い」
●日本の農産物は安全なのか?
農産物では農薬が問題になることもある。
北海道倶知安町のようてい農業協同組合は昨年(2010年)9月、カボチャから基準を超える残留農薬が検出され、
約12トンの商品を回収すると発表した。この時、検出されたのは有機塩素系の殺虫剤「ヘプタクロル」。
1975年に農薬としての登録が切れ、既に使用されていないものだった。
冷凍ギョーザの毒物混入事件や野菜の残留農薬問題が大きく報じられたことももあり、
中国産の食品の安全性に不安を持つ人は多い。
しかし中国の生産現場をよく知る大手スーパーの関係者は
「輸出品に使われる野菜を作っている農場は日本以上に管理が厳しい」と話す。
例えば、土壌の残留農薬を念入りに調べ、栽培中は隣接する農場からの飛散農薬まで目を光らせる。
一方、日本は「消費者が思っているほど厳しく管理していない。
いまだに数十年前に使っていた農薬が検出されるぐらいだから」(流通関係者)。
日経ビジネスオンラインより一部抜粋
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20110106/217830/