・俳優の水嶋ヒロさん(26)が本名の斎藤智裕(ともひろ)名義で書いた小説
「KAGEROU」が15日、発売される。ポプラ社小説大賞を受賞して話題になり、
書店の予約注文は40万部を突破。発売前に増刷になり、部数はすでに4刷
43万部となった。発売時としては、村上春樹さんの「1Q84」BOOK1の25万部を
上回る異例の数字だ。
作品は、自殺をしようとした40代の男が主人公。闇組織に臓器売買を持ちかけられ、
「命」の換金を決断する。だが男は病気の少女と出会い、命の重さを考えていく。
現実にはあり得ない設定を用いたファンタジーになっている。
水嶋さんは慶大在学中にモデルを始め、2006年にテレビドラマ「仮面ライダーカブト」に主演。
ドラマや映画に相次いで出演し、人気を集めた。
歌手の絢香さんとの結婚や、所属していた芸能事務所の退社が話題になった。その後、
小説が公募の賞を受賞。賞金2千万円の辞退などで関心が高まった。出版元のポプラ社に
よると、今作は通常の委託販売制ではなく責任販売制を採用した。書店にとって売れれば
通常よりもうかり、売れ残ると負担が生じる仕組みだが、書店からは注文が殺到したという。
出版ニュース社の清田義昭代表は、作品の内容が事前に伝わらず読者の期待感を高めた点で
「1Q84」と同じ構図になっていると指摘する。
「ただ、評価が固まっている村上春樹さんとは違う。新人のデビュー作であり、今後43万部より
売れるかどうかは内容の良しあしによる」と話している。
http://www.asahi.com/showbiz/news_entertainment/TKY201012140437.html