民主党の中井洽(ひろし)衆院予算委員長(68)が11月29日の議会開設120年記念式典で、
秋篠宮ご夫妻に対し「早く座れよ。こっちも座れないじゃないか」と非礼な発言をした問題で、
衆院へ懲罰動議が出る事態となった。
皇室への理解と敬愛の念が不十分な言動は、残念ながら中井氏以外の政治家にも時に見受けられる。
特に、民主党が中井氏の非礼な発言を頑(かたく)なに否定し、擁護に走ったことは相当な問題だ。
何事にも責任をとらない党の体質が、皇族にかかわる問題でも現れてしまった。
礼節こそが、人と禽獣(きんじゅう)を区別するものではなかったか。日本の政治家の劣化はいつやむのだろうか。
◇礼節わきまえず
「この国会は『蛤(はまぐり)の変』で終わることに。情けない」
中井氏への懲罰動議が出た1日夜、公明党幹部はこう嘆いた。
ベテラン議員の中井氏は、名前の「洽(ひろし)」が難読で、「蛤」に似ているため、政界では「なかい・はまぐり」という
ニックネームがついている。ある意味大物の証明なのだが、これと、幕末の1864年に会津・薩摩両藩と長州藩が
京都御所をめぐって戦った「蛤御門の変」をもじっての嘆きだ。
新党改革の舛添要一代表(62)は2日、「天下国家の大きな所から議論すべきで、(式典での中井氏の)やじや
(逢沢一郎自民党国対委員長(56)の)携帯電話の音が国会会期末の争点になる(ことで懲罰合戦になった)のは、
日本が終わった感じがする」と語った。
その通りだが、厳粛であるべき国会の式典での、皇族への非礼な言動を等閑視していいことにはならない。
「辞譲(じじょう)の心は礼の端(たん)なり」(「孟子」)
古の中国の聖人はよい言葉を残してくれた。へりくだって譲る心が礼の芽生えである−という意味だ。
議員が席に座りたいからといって、両陛下を起立してお待ちになっていた秋篠宮ご夫妻に暴言を吐くのは、実に対照的だ。
1日の参院議院運営委員会理事会で、自民党理事は、中井氏には発言以外にも不適切な振る舞いがあったと報告した。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101204/plc1012040702008-n1.htm