★公務員人件費2割減への道筋見えず
政府は国家公務員の平均年間給与を人事院の勧告どおり前年度比で9万4000円(1.5%)下げる
給与法改正案を国会に提出した。
菅直人首相は民主党公約である「国家公務員の総人件費2割削減」の目標を念頭に、
勧告を上回る給与の削減に意欲を示していた。だが指導力を発揮する場面はなく、
公務員制度改革への取り組みの停滞ぶりを改めて際立たせる結果となった。
公務員は争議権などの労働基本権が制約されている。人事院はその代償措置として
毎年夏に給与見直し案を勧告し、政府は勧告内容に沿って秋の臨時国会で給与法を改正してきた。
今年は行政経費を圧縮する手段として、公務員給与の一層の削減に期待する声が出ていた。
首相は9月の民主党代表選で政権構想に「人事院勧告を超えた削減を目指す」と明記したが、
民主党の有力な支持団体である公務員関係の労組などは強く反発した。
政府は労働基本権付与などに関する方針が定まらないまま、勧告制度を軽視するような
大幅な賃金カットに踏み切るのは難しいと判断したとみられる。
政府は「自律的労使関係制度を措置するための法案」を来年の通常国会に提出する方針も決定した。
労使交渉を通じた給与圧縮への道筋を示し、改革への姿勢が及び腰だという批判をかわす狙いがある。
ただ労使交渉が実現したとしても給与水準を引き下げられる保証はない。
民主党は公約で国家公務員の総人件費を2割削り、1.1兆円を生み出すとの計画を掲げた。
今年度予算では定員見直しなどで1400億円を削るにとどまっている。
今回の勧告を完全実施しても歳出の削減効果は790億円にすぎない。(続く)
日経新聞
http://www.nikkei.com/news/editorial/article/g=96958A96889DE3E5E7E0E6EAE6E2E2E1E3E3E0E2E3E28297EAE2E2E2;n=96948D819A938D96E38D8D8D8D8D 続きは
>>2-4 >>1の続き
政府・民主党では退職手当の減額、行政組織の地方や民間への移管などを検討しているが、
制度全体をどう見直して人件費の2割削減という目標に近づけるのかという戦略はいっこうに見えてこない。
国家公務員の処遇は地方公務員にも影響を与える。自民党やみんなの党は、地方公務員も含めた
大胆な制度改革を主張している。非効率な運営や厚遇批判が絶えない地方公務員の制度にも
メスを入れなければ、「行政のムダ削減」という民主党の看板には疑問符がつく。
公務員制度の改革論議は長期化しており、現職や公務員志望者が生涯設計に
不安を抱く状況が続くことは望ましくない。与野党は給与水準や天下り禁止などと並行し、
国と地方の効率的な運営に向けた全体像の議論を急ぐ必要がある。
以上