■無惨!散弾銃で撃たれた猟犬
茨城県南部のT市で、1匹のセッターが保護され犬猫保護ボランティアに引き渡された。
極度に衰弱したその犬は、まるで救いを求めるように国道沿いの建築会社の敷地で力尽き倒れていた。
痩せた体と近隣住民の目撃情報、排泄物から陶器の破片やゴミばかりが出てきたことから、
この地域を徘徊していた様子が覗える。保護される猟犬たちがそうであるように、この犬もまた、
藪や林を駆け抜ける際につくものなのか、体の表面に細かな傷が見られた。
保護当時、自力で立ち上がることも困難だったこの犬は、「タミー」と名付けられ、
ボランティアスタッフのケアのもと日々回復し、元気に走り回るまでになった。この間、
茨城県へ逸走犬の保護届けを出したが、飼い主と名乗り出る者はなかった。首輪もなく、
飼い主を特定するものは何もない。
体力の回復を待って去勢手術が行われたが、獣医師から驚くべき事実を告げられた。
摘出された睾丸に散弾のようなものが発見されたのだ。レントゲン撮影をして獣医師はさらに仰天した。
下半身部分に集中して星のように散弾銃が撃ちこまれていたからだ。その数100以上。
今、普通の生活を送っていることが不思議なくらいだ。しかも毒性が問題化している
鉛弾の可能性が高い。後日、血中の鉛濃度を測定し、しかるべき治療に入ることになった。
全てを摘出するのは難しいだろう。手術は数回に分けて行われる。
■動物虐待そして遺棄
確認された弾の位置から、背後から引き金を引かれただろう事は容易に想像できる。
誤射なのか。別団体の専門家(ハンター)2人に聞いてみると「行動を共にする犬に散弾が
当たるなんてありえない」と口を揃える。「余程のヘタクソか、ルールを守れない者の仕業」とのこと。
仲間同士の事故防止のため、散弾銃は水平より上に向けて撃たなくてはいけない、
というルールがあるのだ。犬はさらに低い位置にいる。故意に撃ったのであれば動物虐待だ。
しかも散弾を浴び負傷した犬を置き去りにしたのは、遺棄にあたる。容疑者は17年度茨城に狩猟登録を行った一人だ。
ttp://www.alive-net.net/companion-animal/gyakutai/photo/sandan-1.jpg ttp://www.alive-net.net/companion-animal/gyakutai/photo/sandan-2.jpg