農作物を食い荒らすシカやイノシシなどの有害鳥獣を駆除するため、大分県豊後大野市が外国から
オオカミを輸入し、山林に放つ構想を進めている。オオカミの習性や適性を調べようと、来年度予算に
研究機関設置の調査費を盛り込む方針。被害に苦しむ農家の期待は高いものの、大胆なアイデアに
「オオカミを山に放して大丈夫か」と、安全性や生態系に及ぼす影響を危ぶむ声もあり、論議を呼びそうだ。
同市内の推定生息数はシカ約8千匹、イノシシ約3万匹、サル約5千匹。シカはシイタケの原木の新芽や
ヒノキの皮を、イノシシやサルは収穫前のコメや野菜、山菜を食べ、損害額は年約3千万円にのぼるという。
害獣駆除を請け負ってきた猟友会会員も高齢化で近年減り、農家は窮状を訴える。九州地方知事会長の
広瀬勝貞大分県知事は28日、鹿野道彦農相と会い、有害鳥獣の被害対策を重点的に要望した。
「オオカミ構想」はこうした厳しい現状を踏まえて、橋本祐輔市長が提唱する。輸入候補のハイイロオオカミは、
絶滅したニホンオオカミと遺伝的に近い。中国北部から内モンゴルにかけて生息しており、
成獣は体長1・2メートル前後という。
市は、オオカミ研究者らによるプロジェクトチームの設置を来年度予算に計上する方針。
当面は「オオカミ研究センター」を開設して研究を進めながら、市民に構想の理解を促す。
橋本市長は「オオカミは人を襲わないと聞くし、農家の被害は待ったなしの対応を迫られている」と話す。
有害獣駆除 オオカミにお願い 豊後大野市が輸入構想 / 西日本新聞
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/206507