中国政府がチャーターした小型ジェットが9月25日未明、石垣空港を飛び立った。
尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事件で逮捕された船長(41)が釈放され、
福建省へ帰郷したのだ。中国の脅しに屈した形の菅政権に、民主党内からも批判が続出。
「危険水域に入った」という指摘も出るなど、政権は土俵際に追いつめられた。
ちぐはぐな日本政府をあざ笑うかのように、中国政府は「日本は船長らを違法に拘束し、
中国の領土と主権を侵犯した」と謝罪と賠償まで要求してきた。
海上安全保障が専門の山田吉彦・東海大学海洋学部教授がこう警告する。
「中国の本当の狙いは、民主党の内紛に乗じて尖閣諸島を含む東シナ海の海洋管轄権を獲得することです。
そして中国政府は緻密に『商をもって政を制す』という対日戦略を段階的に実行した。
SMAPの上海公演の延期、日本青年上海万博訪問団の受け入れ延期、閣僚交流の停止などから始まり、
レアアースはトドメです。脆弱な民主党政権は狡猾な術中にまんまとはまってしまったのです」
民主党内からも松原仁・衆議院議員ら5人が釈放への抗議声明を菅内閣に突きつけ、
連立を組む国民新党の亀井静香代表も「圧力にこうした対応しかできないとは」とあきれ顔だ。
自民党は10月1日からの臨時国会で菅首相の判断を糾すと手ぐすねを引いている。
民主党幹部が嘆く。「11月の普天間移設問題より先にこちらで立ち往生してしまい、菅さんは辞任に追い込まれるかもしれない。
今回の失態は大きく、ようやく回復した支持率がまた、危険水域まで落ち込む可能性が大です」
厄介な火種がまた一つ増えたことは間違いないようだ。(抜粋)
http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20100929-01/4.htm