「売られたケンカはかわすのが普通、だがそれを買ってしまった」――。
上海では、在住の日本人からも中国人からも「自民党ならばこんな展開にはしなかったはずだ」
という発言が聞かれ、民主党への批判も高まっている。
巡視船と中国籍漁船の衝突事故は7日に起こったが、8日後に迫る民主党代表選挙で配慮が行き届かず、
「政治的解決」が後回しにされてしまったことも想像に難くない。
「結局この間、判断を現場に任せざるを得ず、当の現場は責任問題を恐れ、“ごく普通の司法手続き”を踏んでしまったことが
問題をこじらせる発端になった」(前出のA氏)。
また、同氏は民主党内のタカ派がこれを利用していると見る。
「『中国漁船も来るから沖縄には基地が必要だ』と、タカ派は沖縄にも米国にも
強いシグナルを送ることができる。一石二鳥だ。」
今年11月には横浜でAPECがある。そこで胡錦濤国家主席が「日本の首相になぞ会わん」とヘソを曲げないうちに
政治的解決が急がれる。「ここはすぐに小沢さんが北京に飛ぶべきでは」(同)。
しかし、今後も日中間ではこのような類の“ちょっかい”は続くだろう。「日本側にわざと捕まえさせて、
反日感情をあおる」のが、中国が得意とするトラップであることも十分に考慮に入れながら、
今後は「捕まえたらすぐ釈放」で終わらせるのが得策かもしれない。
もちろん、日本側も十分この機会を外交パフォーマンスの場に利用することだ。
中国は、いうまでもなく深謀遠慮の目論見に長けている。その中国側の仕掛けようとする罠と狙いを読み当て、
うまく駆け引きに持ち込むことがポイントになるだろう。日本は司法の独立性が保証されている国家だが、
中国は異なる。彼らが相手である場合は、「法律にのっとったマニュアルどおりの解決」はなかなか通用しがたいのだ。
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