・尖閣諸島付近で海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、日本政府は中国側の
軟化を期待し、中国人船員の帰国を認めた。民主党代表選を控える菅直人首相らが軟着陸を
模索しているためだ。だが中国側は足元を見るかのように態度を硬化させている。
「しつこいな」
仙谷官房長官は中国の戴秉国国務委員(副首相級)が12日午前0時に丹羽駐中国大使を
呼び出したことについて、苛立ちをあらわにした。中国側は衝突事件が発生してから、何度も
丹羽氏に抗議したうえ、戴氏まで乗り出してきたからだ。
外務省幹部は「中国側から丹羽氏が抗議を受けたことばかり報じられているがおかしなことだ。
丹羽氏は自ら2回出向き、抗議している」と強調する。
もっとも程永華駐日中国大使は8日に外務省を訪れたが、日本側は公表しなかった。
武正公一外務副大臣は13日の記者会見で未明の丹羽氏呼び出しを「遺憾」としたが、
今後程大使を呼びつけることは否定した。
仙谷氏は7日の事件発生時、代表選に追われる首相に代わり、指揮をとった。弁護士出身の
仙谷氏が最も懸念したのが、法的手続きの瑕疵で外交問題に発展することだったという。
事件発生から半日後に船長逮捕を決めたのはそのためだ。
翌8日午前、仙谷氏は「日本国内もヒートアップしないで冷静に対処していくことが必要だ」と
答えている。中国政府が対応を過熱させることは、予想していなかったようだ。
しかし日中両政府が予定していた東シナ海ガス田共同開発に関する条約締結交渉第2回
会合は、船長逮捕に抗議する中国側の都合で延期された。
日本政府は13日昼、船長を除く中国人乗組員14人を帰国させた。仙谷氏は同日の
記者会見で「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止するといわれても困る。
私の予測では、14人と船がお帰りになれば、また違った状況が開かれてくる」と述べ、
中国側の対応の変化に期待感を示した。
首相も「日中双方の努力により戦略的互恵関係がしっかりと発展することが必要だ」と述べた。
外務省幹部は「代表選があるので今は中国と荒波を立てたくないのだろう」との見方を示した。(抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100913/plc1009132358011-n1.htm