★民主党初の「防衛白書」は政権迷走の後始末ばかり
平成22年版防衛白書は中国への脅威認識を明確に打ち出し、日米同盟の重要性と、
「在沖縄海兵隊」の存在意義がさらに高まると強調した。鳩山由紀夫前首相が米軍普天
間飛行場の移設問題で引き起こした迷走の後始末を白書が担う皮肉な結果だ。ただ、年
末に改定する防衛計画大綱については防衛省の方向性を出せないままで、民主党政権で
の防衛政策の難しさを浮き彫りにしている。
「中国の軍事動向を分析するキーワードは戦力展開能力だ」。自衛隊幹部が指摘する
とおり、白書はそこに焦点をあて、日本近海での海洋活動の活発化に注目した。中国へ
の警戒感を一段階引き上げ、「わが国を含む地域・国際社会の懸念事項」と明記した。
「地域・国際社会」と枠を広げたのは、「米国の脅威認識を反映させた」(防衛省
幹部)ためだ。東シナ海や太平洋で米中両国の勢力圏争いが激しくなることを念頭に
置いた。
北沢俊美防衛相は「中国に対する現状認識を表現できた」と白書を自賛した上で、
「海兵隊を中心にした抑止力は欠かせない」と述べた。だが、抑止力の土台を揺るがし
たのは民主党政権にほかならない。
鳩山前首相は普天間問題で県外・国外移設を模索したあげく、辺野古(へのこ)移設
に回帰した。白書は迷走の詳述は避ける一方、抑止力の維持と普天間返還による「沖縄
県民の負担軽減と危険性の除去を優先した」と説明した。自民党国防関係議員は「迷走
の後始末としては、そう弁明せざるを得ない」と冷ややかだ。
(続く)
■ソース(産経新聞)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100910/plc1009102320025-n1.htm