・お釈迦様の教えを伝えるお経。そのありがたい言葉を書き写す「写経」が働く女子の
間に広まってきた。都市化により「ウチって何宗だったっけ?」なんて人も珍しくない
現代社会。この信心はどこから来ているのだろうか?
午後7時すぎ。写経場がスカート姿の正座で埋まっていた。順番待ちの横には
「60分待ち」のボード。「予想外の希望者で」と慌ただしく整理券を配るスタッフ…。
JR東京駅前の新丸ビルで開かれている「高野山カフェin丸の内ハウス」の
写経体験が人気だ。
東京で気軽に高野山(真言宗総本山金剛峯寺・和歌山県)の気分を味わうイベントの
一メニュー。一日約130人が、膨大な「理趣経(りしゅきょう)」を100字に要約した
「百字偈(ひゃくじのげ)」を約30分かけて写経している。8割超が女性だ。
看護師の大井麻紀子さん(27)は「楽しかった。書いている間は心が落ち着き『縁結び』の
願いがかなうような気がしてきた。またやりたい」。一緒に参加した姉で保健師の
佐々木祐紀子さん(29)も「ケータイなどからの情報を遮断し、一つのことに集中できる
時間はすがすがしく貴重。漢字の意味やありがたさが実感できました」。
僧侶の豊田眞彰さん(35)は「心を込めて写経を続けていくと、『こんな意味があったのか!』と
気づく瞬間が訪れます」
私は、百字偈の「大欲得清浄」(大欲は清浄な悟りに通じて)のフレーズがひっかかり
解説を求めた。「食欲、性欲、物欲と人間には逃れられない欲がありますが、大欲とは
必要以上のものを求め悪循環をもたらす欲です。仏教には『良薬と思って食べなさい。
そして必要限度以上取ってはいけません』という教えがあります。お酒も1杯なら薬でも、
取りすぎれば毒になりますよね」(
>>2-10につづく)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100906-00000521-san-soci ※画像:
http://amd.c.yimg.jp/amd/20100906-00000521-san-000-0-view.jpg (
>>1のつづき)
大きくうなずく。肥満、色恋沙汰(ざた)、借金苦…。多くの人の悩みは度を超した欲や
執着から発生している。「偉くなって人々の役に立ちたいという向上心などいい欲も
あります。欲を否定するのではなく自覚することが大切です」
高野山カフェは12日で終了するが、東京・高輪の高野山東京別院では月2回写経教室を実施。
第1月曜の早朝6時から出勤前の女性を中心に30〜50人が写経にいそしんでいる。
「ストレスやプレッシャーが大きな都会生活だからこその需要を感じる。心配ごとが
あったらお坊さんに相談という昔の地域の関係性が、新しい形で回帰しつつあるのかも」と
豊田僧侶。
精神修養や脳トレ目的など多様な写経入門が出版されるなか、6月発行の「和綴じで綴じる
写経入門」(主婦の友社)は女子好みの一冊。書いた写経はお寺に納めるのが一般的だが、
お気に入りの和紙や布で小さな本に仕立てる手法を紹介している。「お守りのように持ち歩け、
実用度が増します」と編集者。大事なプレゼンなど“勝負”の前に開いて心を鎮めたり、
プレゼントにもよさそう。
若手僧侶が超宗派で運営するインターネット寺院「彼岸寺」が、豆本作家の蔦谷香理さんと
コラボレーションした。29日には9回目のワークショップを、仏教好きOLサークル
「丸の内はんにゃ会」との共催で行う。「30歳前後の働く女性の関心が高い。お寺関係者からも
問い合わせが寄せられており、ユーチューブでつくり方の動画を公開しました」とは、メンバーの
ひとりで東京・西浅草、緑泉寺住職の青江覚峰さん(33)。
悠久の歳月と幾多の僧侶の手を経て伝承されたお釈迦様の教義が、かわいいマイ経本として
ケータイできるとは画期的!?
女心と仏教の親和性を見た。(以上)