岩手県西和賀町で、町と建設業者などが雪冷房による菌床シイタケ栽培の実証事業に乗り出した。
豪雪地帯というハンディキャップを逆手に取り、自然エネルギーの活用で電気代などのコスト削減を
図るのが狙い。関係者は効果を検証しながら、品質向上と実用化を目指す。
実証事業は、町と建設業団体などでつくる「西和賀元気な産業再生コンソーシアム」が、
異業種参入として国から助成を受けて実施。地元の建設業、薄井組が2008年から
シイタケ栽培に取り組んでおり、この施設を利用している。
雪冷房は4、5度の冷たい雪解け水をポンプでシイタケハウスに送り、空調機で室内を
冷やすシステム。ハウスそばに除雪で集めた500トンの雪山をつくり、低コスト化のため、
シート代わりに製材で不要となったスギの皮で覆って保冷している。少しずつ解けた
雪水を利用する仕組みだ。
室内は、シイタケ栽培に適しているとされる15〜23度での管理が可能。
夏場の温度調整はこれまでエアコンを利用していたが、雪でも同様の調整が
できることが分かった。
雪冷房の最大の魅力は経費削減だ。自然エネルギーの活用で電気代が抑えられ、
設備投資も含めるとエアコンの4、5割程度が見込めるという。
経費削減は品質の向上にもつながる。これまでエアコンの利用時間を限っていたが
終日冷房が可能になり、取引先の品質への評価は「肉厚で茎も太い」「色がきれいになった」
などと高まりつつある。
西和賀町内で現在、菌床シイタケ栽培に取り組むのは10業者。電気代などの経費は
共通の悩みだっただけに、コンソーシアムの雪冷房が負担軽減に役立つと期待される。
薄井組の高橋順也社長は「雪はハンディだったが、逆手にとれる。今後は味や形などを
分析し、他産地と差別化が図れればいい」と意気込む。
*+*+ 河北新報 2010/08/24[06:52:57] +*+*
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/08/20100824t33011.htm