【話題】「大学崩壊」 大学生の2割が就職も進学もできない 「高学歴ワーキングプア」★2

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1ぽっくりφ ★
文部科学省が8月5日に発表した平成22年度学校基本調査(速報)によると、
今春、大学を卒業した学生の就職率は60.8%と、昨年から7.6%ポイントも減った。
残り4割のうち、大学院進学などを除いた就職も進学もしていない卒業生が16.1%に上る。

この他にも、アルバイトや派遣社員を含めると2割以上が「進路未定者」で、
ほぼ同数の留年者がいる。進学者の中にも、就職できずに仕方なく大学院に行った
学生がかなりいることを考えると、実質的な「無業者」の比率は3割近いだろう。

この最大の原因はもちろん不況だが、企業が中高年の過剰雇用を温存して
新卒採用で雇用調整を行っている影響も大きい。

日本の企業に独特の「新卒一括採用」も批判されているが、これは終身雇用・年功序列などの
日本的雇用慣行の一部であり、それだけをやめることは難しい。

新卒で「白紙状態」の労働者を多くの職場の転勤で教育してゆく日本企業の
ローテーションは、1960年代から続いているものだ。今から変えて、若い社員を中途採用で抜擢すると、
「徒弟修業」で苦労した中高年社員が怒るので、変えられない。

最大の責任はこのような労働需要側にあるが、供給側の要因も見逃せない。
それは大学卒業生の慢性的な過剰である。

85年から2010年までの25年間に、大学の数は460から778に増え、
学生数は下の図のように185万人から289万人へと56%も増えた(学校基本調査)。

この間、学齢人口(19〜22歳)は90年代前半までは「団塊ジュニア」の増加によって増えたが、
その後はピーク時の800万人から3割減った。しかし、大学の定員は増え続けたため、
2010年には大学進学率は50.9%になった。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4183
http://jbpress.ismedia.jp/mwimgs/4/b/480/img_4ba40820c97035b8979ceb698b88237b32693.jpg
>>2以降に続く
2ぽっくりφ ★:2010/08/13(金) 10:06:07 ID:???0
90年代に「就職氷河期」と言われた時期から大学生が50万人以上増えているのだから、
供給過剰になるのは当然だ。

おまけに、この25年間に大学院生の数は7万人から27万人へとほぼ4倍に増えた。
その一方で、彼らの就職先である大学教員は15万人から20万人にしか増えていないので、
博士号を取っても就職できない「高学歴ワーキングプア」が大量に発生した。

こういう数字を紹介すると、「大学生を減らしたら高卒が困る」という反論がよくあるが、
高卒の無業率は5%程度で、大学よりはるかに低い。専門学校は、科目にもよるが、
看護や福祉などの学科は慢性的に人手不足である。

大卒だけが供給過剰になるのは、彼らの手に職がないからだ。
進路未定者の9割が私立で、6割超が文系だ。2000年代に流行した「国際○○学部」や
「△△情報学部」などの、中身のよく分からない新設学部の卒業生が苦戦している。

大学が激増すると、当然そのレベルは低下する。今では私立大学の半分以上は定員割れで、
推薦入学や「AO入試」などの形で、入学試験なしで入学する学生が半数を超える。

有名大学でも、偏差値を維持するために入試の定員を絞って推薦入学などを増やすため、
早稲田大学の政治経済学部でも、一般入試を受けて入った学生は40%しかいない。

このように「学歴のインフレ」が進んだため、もはや大学の偏差値は学力の尺度にならない。
企業が面接だけで学生を採用するのは、大学のランクで学力が分かっていたためだが、
今のように「裏口入学」だらけになると、一流大学でも信用できなくなる。

そうなると無名大学で能力のシグナルになるのは、大学ではなく資格しかない。
大学もこういう状況の変化は分かっているので、最近の新設学部は医療・福祉関係が増えた。
教育内容も特定の資格を取るコースが増え、一般教養的な科目には学生が集まらなくなった。
3ぽっくりφ ★:2010/08/13(金) 10:06:22 ID:???0
これを「大学の就職予備校化だ」と批判する人がいる。彼らにとっては大学は
アカデミックな教養を身につける場なのだろうが、同世代の半分以上が進学するようになった大学は、
もはや昔の意味でのアカデミズムではあり得ない。定員を減らすのが難しいのなら、
教育内容を専門学校に近いものに変えてゆくしかない。

こうした「大学崩壊」の根本的な原因は、日本の大学教育が企業の要請とかけ離れた
アカデミズム偏重だからである。

企業の側も、特に文科系の場合、サラリーマンを長期雇用で使い回すので、特定の専門知識を持っているよりも
素直で順応力の高い「便利屋」を求める。大学で何を学んだかはどうでもよく、「東大卒」の実績よりも「東大入学」の学力が大事なのだ。

だから極端に言えば、入学してからすぐに就職した方が、4年間の所得も無駄にならない。
入学の段階で目的は達成されるので、学生も真面目に勉強しないし、教師も真面目に教えない。
何のために勉強するのか分からず、企業にも評価されない教育を4年間いやいや受ける日本の大学は
社会的な浪費であり、学生を堕落させてしまう。

しかし文科省は、いまだにアカデミズム中心で大学教育を考えている。
審議会の委員も有名大学の教授ばかりだから、底辺の大学が崩壊している実態を知らないで、
国際競争やエリート教育の話ばかりしている。

もちろん哲学や天文学のように直接役には立たない学問も必要だが、
そういう分野は学生全体の1割もない。日本は一流大学でさえ世界の水準からみると遅れているので、
研究水準を引き上げることは重要だが、これも全体の1割に満たない。

圧倒的多数の学生が求めているのは、もっと実用的で分かりやすい教育なのである。