同意人事:攻守逆転、苦しい民主
9月末にも召集される見通しの臨時国会では、預金保険機構理事長などの同意人事案件を巡り、
政府・民主党が対応に苦慮することになりそうだ。年内に14機関42ポストの人選が必要になるが、
衆参両院で多数派が異なる「ねじれ国会」の下、野党も同意する人材を提示しなければならない。
政権交代前のねじれ国会では、民主党は日銀総裁人事を2度不同意にするなど、自公政権を揺さぶる
材料として徹底的に活用したが、今や攻守逆転した格好だ。
同意人事は予算案や条約と違い、衆院の優越規定がなく、参院で不同意となれば白紙に戻る。
民主党は野党時代の07年8月から09年7月の約2年間のねじれ国会で、日銀総裁や同副総裁、
人事官など9機関28人の人事に不同意を突き付けた。特に日銀は約3週間にわたって総裁が
空席となる異常事態となり、当時の福田康夫政権を弱体化させた。
現在、すでに任期切れとなっているのは、預金保険機構理事長や証券取引等監視委員長など4機関7ポスト。
特に、預金保険機構理事長と同理事の2ポストは、後任が決まるまで前任者が職務を続ける規定がないため
空席となっている。また、今後、年末にかけて宇宙開発委員会委員など10機関35ポストの任期が次々と満了する。
菅直人首相は5日の参院予算委で、野党時代の対応について「政権を追い込むことを念頭に置いた行動が
いくつかあった。反省すべきところはきちっと反省したい」と答弁。仙谷由人官房長官も7月28日の記者会見で
「ただひたすら(野党に)説明し、頭を下げる」と語った。もっとも、仙谷氏は民主党の国会同意人事検討小委員会の
委員長として不同意を連発していただけに、バツの悪さは否めない。
今のところの救いは、自民党の谷垣禎一総裁が「日銀総裁のポストがいつまでも埋まらないような対応はできない」と
柔軟な構えを見せていることだ。ただ、福田政権の官房長官を務めた町村信孝氏は「民主党は重要な人事を政争の
具に使った。当時のやり方を自己批判してから話を進めるべきだ」と語るなど、民主党への不信感は根強い。
【毎日新聞】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100813k0000m010078000c.html