乳牛をモチーフにしたキャラクター「ミルク082(おやじ)」にふんして歌による牛乳のPR活動を
全国で行っている埼玉県深谷市の元酪農家、村川徳浩さん(50)が18日、新曲CD「うし/
うしうしサンバ」をインディーズ(自主制作盤)で発売する。利益は全額を宮崎県に
口蹄(こうてい)疫義援金として寄付する予定で、村川さんは「歌でエールを送りたい」と
意気込んでいる。
深谷市で酪農を営んでいた村川さんが歌手活動を始めたのは平成13年。当時は雪印の
集団食中毒問題の直後で、「牛乳を飲んでくださいとアピールする」のが目的だった。
本業の傍ら、牛乳をテーマにした曲を演歌調のものからヘビメタ調のものまで制作、
イベントなどで披露してきた。
飼料価格高騰の影響もあり、20年3月に酪農家を廃業。昨年6月からは全国の小学校などを
回る活動を始めた。これまでに全国39県約230カ所で歌って踊り、牛乳の消費拡大を訴えてきた。
今年3月には宮崎県でも観光牧場の前で歌を披露するなど3日間活動したが、同県ではその後
口蹄疫問題が発生。多くの牛が処分され、廃業する畜産農家も現れた。自身も「酪農家をやめたくて
やめたわけではなかった」という村川さんは、「牛を弔うため、そして酪農家の皆さんにがんばって
ほしいと伝えるため」にCDの発売を決意した。
CDに収録した『うし』と『うしうしサンバ』はいずれも牛そのものがテーマ。2曲で合計89回も
「牛」というフレーズが登場し「牛が再び愛される存在になってほしい」との願いが込められている。
また、今回は初めてレコーディングスタジオで収録、自身が販売するのでなく流通経路にも乗せる。
「より多くの人に知ってもらうため」だ。
CDは1枚1千円で2500枚制作、インターネットでも楽曲が配信される。売り上げから経費を
差し引いたものが寄付金になるが「正直言って金額的にはそんなに多くないと思います」と村川さん。
それよりも「気持ちを贈ること」が目的だという。「自分も酪農家を廃業してこの活動を続けていく中で
いろいろな人に助けられた。それの恩返しではないけど、少しでも助けになれれば」と力を込めた。
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/saitama/100811/stm1008112315012-n1.htm