また、韓国がこれまで返還を要請していた「朝鮮王室儀軌(ぎき)」などの文化財を引き渡す方針も明らかにした。
この「儀軌」は、朝鮮王朝の主要行事を絵や文章で記録した古文書で、
日本による韓国統治時代に韓国から流出したものとされている。
複数の韓国メディアも、この談話について報じている。菅首相は談話で、両国は21世紀において東アジア地域、
世界の平和と繁栄のために協力するパートナーであるとの認識を強調し、今後の100年を見据え、未来指向的な両国の関係を構築し、
サハリン残留韓国人に対する支援、朝鮮半島出身者の遺骨返還支援など、人道的な協力を実施する計画も発表すると伝えている。
当初は15日と見られていた首相談話の決定が10日になったことに対しては、菅内閣は日本国内の保守勢力の反発を意識して、
日程を前倒ししたと指摘。儀軌の返還やサハリン残留韓国人支援など、今回の談話は仙石官房長官の強い意志が
反映されたものであるとの見方を示している。
韓国のメディアは、今回の談話の内容は「村山談話」の水準に止まるが、宮内庁に所蔵されている
朝鮮王室儀軌を引き渡すと明記するということは、大きな成果であり、事実上は韓国政府があきらめた文化財返還を
民間団体と学界が成し遂げたという点でも意味があるとしている。
またアジア諸国を対象に曖昧なメッセージを投げた『村山談話』に比べて、
今回は韓国を具体的に明示しており、サハリン残留韓国人の支援や徴用者の遺骨返還問題なども
その前向きな姿勢が表れたものであるとの見方を示している。
しかし、相変らず日本に残っている文化財は、公式に確認されただけでも6万点余りに達し、
文化財返還に関してはまだほんの始まりにすぎず、また菅首相の談話の内容は謝罪を述べるに留まり、
実質的な後続措置に対しては、相変らず不十分だという主張も見られる。
また日韓の知識人が1000人以上が署名した「日韓併合は根本から無効であった」
という主張に触れておらず、儀軌の返還もまた韓国の文化財図書の長期的な返還に基づいたものでない。
日韓併合は合法という認識から、この談話は脱却はしていない、との専門家の指摘を紹介するメディアも見られた。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0810&f=politics_0810_004.shtml