2010年08月05日(木)
★求刑通り無期判決 富士河口湖強盗殺人
甲府地裁 無罪主張は「不合理」
富士河口湖町の新聞店従業員平尾恵美子さん=当時(61)=がアパートで絞殺され、現金が奪われた事件で、
強盗殺人の罪に問われた田中龍郎被告(58)=甲府市=の判決公判が4日、甲府地裁で開かれた。深沢茂之裁
判長は「金欲しさに犯行に及んだ動機に酌量の余地はない」と述べ、求刑通り無期懲役を言い渡した。無罪を主張
した田中被告については「不合理な弁解に終始し、反省の態度が認められない」と指摘した。県内の裁判員裁判で
初めて被告が否認し、検察側の状況証拠だけで立証された公判は、最も重い量刑となった。田中被告は即日控訴した。
判決によると、田中被告は1月31日午後8時ごろ、平尾さん宅で平尾さんの首にビニールひもを巻き付けて絞め
て窒息死させ、現金57万円を強奪した。
公判は、田中被告が起訴内容を否認したため、「犯人かどうか」が最大の争点だった。判決理由で、深沢裁判長は、
携帯電話の通話記録と田中被告の供述が矛盾していることや、田中被告が事件後に使用したり、所持したりしていた
紙幣から平尾さんの指紋が検出されたことなど、検察側の主張を大筋で認め、田中被告による犯行と断定した。
このほか、田中被告が事件前に息子の授業料や家賃など多額の負債を抱え、借金を繰り返していたことなどから、
「現金が30万円あった」とする田中被告の主張は不自然と判断。事件後に使用した金との差額についても、田中被告
の説明が具体的ではないとした。事前に平尾さんの首を絞めるためのビニールひもを用意したことも認め、「強固な
殺意に基づく計画的な犯行で悪質」とした。
甲府地検の矢野元博次席検事は「目撃者や被告人の自白など直接証拠がない事件であり、有罪認定の難しい事件
だった。裁判官、裁判員は被告人が犯人である事実について適正に判断した。深い敬意を表する」とコメントした。
田中被告の弁護人を務め、無罪を主張していた関二三雄弁護士は「一部主張をくみ取っていただいた部分があった」
としながらも、「有罪は承服できない」と話し、即日控訴したことを明らかにした。
▽ソース
http://www.sannichi.co.jp/local/news/2010/08/05/2.html