政府の2011年度予算編成で、公的年金の受給者に給付される基礎年金の
財源確保策として、約123兆円の年金積立金の一部を取り崩す案が浮上して
いることが4日、分かった。
基礎年金は給付費約21兆円の2分の1を国庫(税)で負担しており、09、
10年度の2年間は財政投融資特別会計の「埋蔵金」の充当でしのいだが、
11年度は不足の財源約2・5兆円をどう捻出するか、全くめどが立っていな
いため。しかし、積立金の取り崩しは年金財政の持続性や将来世代の給付
水準に影響しかねず、年末の予算案決定まで調整はもつれそうだ。
基礎年金は現役世代が支払う保険料と国庫で賄う。国庫負担は以前は
3分の1だったが、年金財政の安定化のため徐々に増やし、09年度から
2分の1に引き上げた。だが、引き上げに要する財源として当初見込んで
いた消費税増税は先送りされた上、埋蔵金はもう残り少なく、活用は困難だ。
そこで政府は苦肉の策として、厚生年金と国民年金の積立金を最大で
2・5兆円取り崩し、国庫(一般会計)に貸す形にした上で財源をひねり出
す案を検討。同様のやりくりは過去にも行ったことがあるため、「理屈は
通る」(厚生労働省幹部)との考えだ。
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