・仙谷氏は28日、防衛白書の了承先送りについて「東アジアの平和と安定は日韓連携の
強化に尽きる。その観点からあらゆる政策課題を判断する」と述べ、8月の日韓併合
100年を前に、竹島を「わが国固有の領土」と記述する白書への韓国側の反発への配慮を
事実上認めた。菅首相は28日夕、「G8でも大きな課題だった韓国の哨戒艦事件を書き込む
べきだと私が(了承先送りを)判断した」と語った。
これに対し、複数の政府関係者は仙谷氏が先週から先送りを求めたが北沢氏が応じなかった
ことから、「仙谷氏が首相の判断を仰いだ」と説明した。仙谷氏は会見で竹島問題について
「わが国の立場は一貫しており何ら変更はない。解決への方策を不断に検討していく」と述べた。
しかし、与党の一員である国民新党の森田高政調会長は「どこの国に忠誠を誓っているのか、
どこの国の国益を重視するのか−と思う国民が出てくる」と指摘する。民主党内にも「仮に
韓国に配慮して延期したのなら、とんでもない話だ。党政策調査会で議論した方がいい」
(笠浩史国対筆頭副委員長)との声がある。
対露外交でも低姿勢が目立つ。ロシアが(1)今月上旬に北方領土の択捉島で軍事演習を実施
(2)日本が第二次大戦の降伏文書に調印した9月2日を事実上の対日戦勝記念日
「大戦終結の日」に制定−しても、菅政権では、外務省が通り一遍の抗議をしただけだ。
さらに岡田外相は27日、「一般論」と断った上で「日本は8月15日に(大戦が)終わったと
考えているが9月2日も一つの区切りだ。法的にはそこで戦争状態が終結したとも言え、
一つの考えとしてあるだろう」と語った。
この外相発言に対しては、外務省内にも、昭和20年8月15日以降に北方領土を不法に攻撃し、
軍事占領した旧ソ連の侵略行為を正当化するおそれがあるとの懸念が出ている。
対外融和姿勢が妥当性を持つのは相手国の政府や世論が理解し、歩み寄ってくるケースだけだ。
竹島問題で韓国に、北方領土や対日参戦問題でロシアに融和を期待しても、日本が一方的に
譲歩するだけのむなしい結果に終わりかねないとの懸念が与野党双方で広がっている。(抜粋)
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100728/plc1007282123015-n1.htm