16日に公開された菅直人首相と閣僚の資産では、鳩山前政権から引き続き菅内閣にとどまった
閣僚、副大臣、政務官のうち、株価の保有数変更などの修正を行ったのは4人にのぼった。仙谷由人
官房長官もその1人で、同日の記者会見で「1円違ったから修正だという議論はいかがなものか」
と述べ、正確な報告は困難と開き直った。資産の透明性確保のために、内閣が定めた「大臣規範」を
否定するかのような発言は、「政治とカネ」問題に対する菅政権の姿勢に疑問符がつきそうだ。
仙谷氏は、鳩山前内閣の行政刷新担当相として公開した昨年10月時には保有株を1千株と
していたが、今回は1046株に増えた。北沢俊美防衛相と大塚耕平内閣府副大臣にも変更があった。
泉健太政務官は保有車両を新たに記載した。
仙谷氏の場合は単純な記載ミスとみられる。だが、記者会見では、自身が弁護士であることを
引き合いに出し、「私のようなプロでもいちいち確認して正しい答えを求められても容易にできない」
と述べた。蓮舫行政刷新担当相は「透明な形で国民に示すことは必要だ」と訴えており、閣内の温度差
を浮き彫りにした。
仙谷氏は会見の冒頭、資産公開の根拠として平成13年1月に閣議決定した大臣規範の趣旨に言及し、
「公職にある者としての清廉さを保持して、政治と行政への国民の信頼を確保する」との考えを強調した。
しかし、自民党政権下で取り決めた大臣規範が順守できなければ、鳩山前内閣から引きずる「政治とカネ」
問題への対応が後退したと世論に受け止められるのは必至。それでも、「(資産を公開する)国会議員や
各大臣に同情する」と言い切った。
(
>>2-に続く)
▽産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100716/plc1007161831016-n1.htm (
>>1の続き)
一方、菅内閣の資産平均額が過去最低になった理由について、「閣僚が若返ったことに大きな理由がある。
平成9年からは可処分所得が(若い世代を中心に)上がらず、ストック(資産)も増えていない」と述べた。
菅内閣の平均年齢は55・16歳で、鳩山前内閣と比べ5歳若返ったとはいえ、総資産が13年以降最低
となった最大の要因は、一人で14億円以上の資産があった鳩山由紀夫前首相が辞任した事情が大きい。
民主党が大敗した参院選では消費税引き上げ問題に争点が集中し、「政治とカネ」の論争はほとんど
なかった。小沢一郎前幹事長の問題も十分な説明をしておらず、政権を揺さぶりかねないテーマにはふたを
する菅内閣の体質は変わっていない。
−おわり−