菅直人総理がご執心の消費税率アップ。民主党のマニフェストに税率は書かれていないが、
菅総理は突如「自民党案の10%を参考にする」と言い出した。この発言は、民主党内の正式議論を経ていない。
もし参院選で勝利できなければ、菅総理は9月の民主党代表選までのショートリリーフとなるような
大ギャンブルに打って出たことになる。
昨年の政権交代直後は、菅氏も消費税増税は4年間行わないという民主党の方針に賛成だったはずだ。
それが今年、財務相に就任するや、様変わり。鳩山総理(当時)に、「来年からでも消費税を上げるべきだ。
そのほうが選挙も勝てるし、景気も良くなる」と進言していたという。
この豹変の背後には、財務省の執拗な洗脳とともに、一人の学者の存在があるという。
その人の名は、小野善康大阪大教授。菅総理と同じ東工大卒で、10年来の知り合いだ。
菅総理が銀座の行きつけの飲み屋で小野教授を絶賛しているという話は有名で、
財務省内でもしばしば「小野理論」を説いているという。2月26日付で内閣府参与にも就任している。
その「小野理論」というのが、「増税すれば景気が良くなる」というもの。先週号の「特別版」でも
説明したが、これは官僚が全知全能であるという前提条件の下でのみ成り立つ理論で、
大学院生などがロジックの練習をするときに使う題材だ。
賢い官僚が愚かな国民からカネを巻き上げ、賢く運用するから景気が良くなるという論理で、
官僚が全知全能であるという前提が荒唐無稽だから、導かれる結果も、必然的に非現実的なものになる。
菅総理と小野教授をともによく知る人によれば、小野教授は論理より弁が立ちすぎるタイプで、
菅総理はちょっと際どい能弁家が大好きらしい。困ったものだ。
この小野理論は、消費税増税を目論む財務省にとって本当に都合がいい。結論が素晴らしいし、
何より官僚は国民より優秀という前提が彼らの自尊心を満足させる。もちろん菅総理に対しては、
政治主導で立派なご判断です、とお世辞も忘れない。
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