日銀が17日発表した1〜3月期の資金循環統計(速報)によると、
国や地方などの金融負債残高が2009年度末、初めて1千兆円を上回った。
08年度末から4.8%増の1001兆7715億円。
景気対策で積極的な財政出動をした結果、国債や国庫短期証券の発行が増えた。
資金循環統計は政府部門、家計、企業などのお金の流れや保有残高を分析する。
財務省が発表した国と地方の長期債務残高は09年度末で825 兆円(実績見込み)。
資金循環の金融負債残高には国庫短期証券や財投債などが加わるため、一段と多くなっている。
政府の負債としての国債(財投債を含む)発行残高は09年度末時点で558兆5114億円となり、
08年度末比で2.2%増えた。国庫短期証券は28.9%増の149兆6521億円だった。
資産として国債や国庫短期証券を買い増し、保有残高を積み上げたのは国内金融機関だ。
預金の増加と貸し出しの減少で余剰資金が膨らみ、安定的な運用をしやすい国債への運用を増やした。
09年度は金融危機の影響を引きずり、慎重な運用や投資をする動きが目立った。
個人(家計)は現金・預金を1年前に比べて1.5%増やした。
一般企業などは積極的な設備投資に動かず、負債である金融機関からの融資を4.8%絞った。
結果的に、家計が金融機関への預金を通じて国債などを買い支える構図が一段と鮮明になった。
金融機関の国債保有残高は3.5%、国庫短期証券は36.3%それぞれ増えた。
RBS証券チーフエコノミストの西岡純子氏は「デフレが続く限り同様の傾向は続く」と指摘する。
現状では政府が国債を増発しても家計が買い支えて消化しやすくなっているが、
財政問題を先送りしているにすぎない。
国や地方の債務残高削減などによる財政再建は急務となっている。
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819591E3E5E2E39D8DE3E5E2E4E0E2E3E29797E0E2E2E2;at=ALL