鳩山由紀夫首相が辞意を表明した2日、新聞各紙朝刊はいずれも首相の進退ないし
退陣論を大きく取り上げ、各紙社説は鳩山・小沢(一郎・民主党幹事長)
ツートップ辞任の決断を迫った。
「問われているのは『鳩山−小沢体制』そのものをどうするかで、小沢氏には
共同の責任がある」(産経)、「首相退陣論加速、『小鳩』双方に責任がある」(毎日)、
「鳩山政権が失速した一義的な責任が首相にあることは確かだとしても、
首相だけが責任を負うべきものなのか。小沢氏の責任も重大だ」(読売)という調子だ。
朝日は「首相退陣論−これでは逆風はかわせない」と題して「政権選択時代の
政治の流れから誕生した首相を退陣させようというのなら、早期に衆院解散・総選挙を実施し、
有権者に再び政権選択を求めるべきではないか。それなしに『たらい回し』に
走るのは民主党の自己否定に等しい」と選挙目当ての首相退陣に異議を唱えた。
各紙とも首相だけが責任を取らされ、実力者の小沢氏は責任逃れを決め込み、
そのまま参院選になだれ込んでいくのではないかという懸念がにじんでいた。
だが、その日に起こったことは各紙の見込みを超えていた。
鳩山首相は自らの辞意表明と同時に小沢氏の辞任同意を取り付けたのだ。
民主党両院議員総会で「政治とカネに決別してとことんクリーンな民主党を
取り戻そうではありませんか」と述べ、拍手喝采(かっさい)を浴びた。
問題は朝日社説が心配したように、この首相交代は単に逆風をかわそうという
選挙目当ての発想なのか、それとも首相の座を「たらい回し」にしてきた自民党政治とは
本当に決別した真に政権交代の名にふさわしい後継内閣と胸を張れるものなのかどうかだ。
今回、鳩山首相を辞任に追い込むきっかけになったのは沖縄の普天間飛行場移転問題、
その失政による連立の破綻(はたん)だが、その根っこにあるのは国家安全保障に対する
認識の欠如である。それはひとり鳩山首相だけではない。国家安全保障を最重要政策課題としている
アメリカの独立宣言には「生命、自由、幸福の追求」の権利を守ることは政府の仕事であり、
それができない政府は人民によって新しい政府に代えられる、とある。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100605/stt1006050806006-n2.htm