鳩山由紀夫首相の進退をめぐり政局は31日、風雲急を告げた。
民主党執行部からも退陣論が表面化し、首相の求心力は一段と低下した。
首相は続投へ強い意欲を示しているが、鳩山包囲網が敷かれつつある。
参院選を前に、首相は厳しい局面に立たされた。
「一両日中に首相と輿石東参院議員会長と3人で話し合う」。
民主党の小沢一郎幹事長は31日夕の役員会の冒頭、首相の進退について
トップ会談で決着を付ける考えを示し、小沢氏らに対応を一任することが決まった。
これに先立ち、小沢氏は国会内で急きょ、輿石氏らを交え首相と会談。
しかし、わずか8分で終わったことから党内では情報が錯綜(さくそう)。
「小沢氏が進退の話を持ち出そうとしたが、首相が温家宝中国首相が
来日中であることを理由にさえぎった」(幹部)との憶測も流れた。
米軍普天間飛行場移設をめぐる迷走、社民党の連立政権離脱を受け、
報道各社の世論調査で内閣支持率はそろって続落。鳩山政権はずるずると失速し、
参院選を控えた民主党の改選組からは「このままでは戦えない」との悲鳴が上がる。
こうした中、高嶋良充筆頭副幹事長は31日、「首相の決断に懸かっている」と
記者団に表明。高嶋氏は小沢氏に近く、自発的辞任を期待する小沢氏の意向を
代弁したとの見方が出ている。
ただ、小沢氏に批判的な議員は、首相が辞任に追い込まれれば
「小沢氏も一蓮托生(いちれんたくしょう)だ」とけん制。渡部恒三元衆院副議長は記者団に
「首相に責任負わせて、もっと悪いやつが生き残るのはどうか」と語った。
首相自身も小沢氏らとの会談後、「(続投は)当然だ」と、退陣論を全面的に打ち消した。
首相進退をきっかけに、党内対立に発展する可能性も否定できない。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2010053101008