「こんな総理、かなわんわ…」。27日に東京都千代田区の都道府県会館で開催された全国知事会議に
出席した石原慎太郎知事は、鳩山由紀夫首相の安全保障に関する認識にいらだちを隠さなかった。会議は、
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設問題で、政府が沖縄の負担軽減策の柱とした訓練
の全国分散移転をめぐって開かれたが、鳩山首相は予想に違わずほぼ四面楚歌(そか)だった。
石原知事をいらだたせたのは、意見交換の席上での鳩山首相の発言だった。
石原知事は尖閣諸島防衛での米国の消極性を例示。その上で「日本の領土を守らないなら、何のため沖縄に
膨大な基地を構えるのか。抑止力を現政府がアメリカに問いたださない限り、訓練分散を論じる足場がない」
と糾弾した。
また、「総理は外国人参政権の問題で、『日本列島は日本人のためだけのものではない』と述べたが衝撃だ」とも。
これに対し、鳩山首相は「日中の間で衝突があったとき、アメリカは安保条約の立場で行動する。しかし
(尖閣諸島の)帰属問題は日中当事者同士で議論して結論を出す、と私は理解をしている」と回答した。
この言葉に、会議途中で退席した石原知事は怒り心頭の様子を隠さなかった。報道陣に、「日中間で尖閣諸島の
帰属を協議しようって、こんなバカをいう総理大臣いるのか? 正式に(米国から)返還されたんだ。ばかな
会合だよ。ナンセンス!」。
意見交換ではこのほか、一部訓練の移転先候補の徳之島を抱える鹿児島県の伊藤祐一郎知事が「政府は全く
分からない。今の状況は極めて厳しいと端的に伝えたい」と述べるなど、厳しい意見が相次いだ。
鳩山首相は報道陣の問いかけに一瞥(いちべつ)したのみで無言のまま会場を足早に後にした。
石原知事、鳩山首相が去った後、会議は訓練分散への最終見解をめぐり紛糾。結局、政府から具体案が提示
された際は「協力していく」という当初案を、「真(しん)摯(し)に対応していく」と弱めた表明に止めること
でまとまった。
▽産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/100527/tky1005272144009-n1.htm