★あすは我が身?“生方解任騒動”にみる正しい「忖度」使い方
先週、民主党を混乱に巻き込んだ生方幸夫副幹事長の解任騒動は、小沢一郎幹事長の
意を忖度(そんたく)した側近らによるものとされ、「忖度政治」なる言葉も広まって
いる。上司の言葉や行動からその意を的確に汲み取って対応することはサラリーマンに
も大切なことだが、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし。一歩間違えば、信用を地に落
とす“諸刃の剣”になりかねない。
「忖度…他人の気持ちをおしはかること」(広辞苑)
組織におけるこの言葉の真意について、井口哲夫・日本能率協会専任講師(経営組織
論)はこう解説する。
「組織論から言えば、上司の意向と同時に顧客の意向も正しく『忖度』し、組織にと
って最適な結果を導くことが側近の理想。民主党議員らは、ボスである小沢氏の意向に
汲々とする一方で、政治家としての主人であり顧客である有権者の意向を無視した。そ
の結果、組織の信用失墜という最悪の結果を招いた。すべてのサラリーマンは、この事
例を反面教師として捉えるべきでしょう」
的確な忖度には、上司との日ごろの関係も重要だと指摘するのは、元武田薬品工業専
務で人事コンサルタントの柳下公一氏だ。
「古くは、武田信玄の山本勘助、上杉謙信の宇佐美定満。近代では本田宗一郎の藤沢
武夫、松下幸之助の高橋荒太郎、豊田喜一郎の石田退三など、いずれも名参謀といわれ
た人物には必ず上司との強い絆と真の忠誠がありました。時には、上司の意に沿わなく
ても正しいと思う意見を進言し、それを上司も受け入れてきた。しかし、いまの小沢氏
と周辺議員には、それがまったく感じられません。誰も進言できなかったことは、小沢
氏にとっても不幸なことです」
党内の現状について、小沢氏と距離を置く民主党中堅議員はこう嘆く。
(続く)
■ソース(夕刊フジ)
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20100327/plt1003271333001-n2.htm (
>>1の続き)
「『小沢さんが怒っているらしい』という情報が流れると、側近議員は誰もがソワソ
ワし始めます。そして、『小沢さんはきっと、こう考えているに違いない。このままで
は逆鱗に触れるぞ』と勝手に解釈し、過剰反応するのです」
とはいえ、日ごろからワンマン上司に振り回されているサラリーマンには、その心情
がよく理解できるのではないだろうか。サラリーマン生活が長い経済アナリストの森永
卓郎氏は、次のように慰めてくれた。
「ワンマン組織で上司にもの申すのは相当な勇気と覚悟がいる。今回だって、参院選
後に小沢さんが失脚しなければ、生方さんはもちろん、生方さんに辞任を迫った側近議
員にも“懲罰人事”が待っているでしょう。組織とはそういうものです。そんな組織で
も出世したいと思うなら、上司の行動や発言、表情のすべてに、さまざまな“文脈”が
含まれることを敏感に『忖度』するしかないでしょうね」
それでもあなたは「忖度」しますか?
(以上)