【報道】毎日新聞社、自社の医療報道に理解を求める文書を製薬企業連合会の評議員に配布
毎日新聞社が自社の医療報道に理解を求める朝比奈豊社長名の文書を、
日本製薬団体連合会の評議員に配布した。
複数の関係者によると、数年前の医療報道で一部医師から強い批判の声があがり、現場MRへの忠告、あるいはネットへの書き込み、電子メールの送付などで、同社への広告出稿をけん制する動きが活発化。
製薬企業のほとんどが出稿を停止し、いまだ半数以上、停止状態が続いているという。
文書によると同社は06年8月、奈良県で意識不明になった妊婦を転送する病院が見つからず、大阪府内の病院で死亡した事故を、産科救急の不備、周産期医療の現状と課題などを交えて報じたところ、
一部医師の間で「毎日新聞の報道が医療を崩壊させた」との批判が起きた。
複数の関係者によるとこれを皮切りに、同社に広告出稿する製薬企業にも、批判の矛先が向くようになり、 10社程度あった製薬企業の毎日新聞への広告のほとんどが出稿を停止。
いまも数社を除いて出稿停止が続いている。 背景には、現場MRに対する直接の忠告、2チャンネルなどネットの書き込み、電子メールの送付などで、 広告出稿をけん制する動きがあったという。
毎日新聞社は今回の文書で、「医療態勢が崩壊していた現実を報道したのであって、報道が崩壊させたわけではない」と 説明する一方、
「医療報道をさらに充実させ、毎日新聞の医療に向けた姿勢をより鮮明にするよう心掛けてきた」と強調。
奈良県の医療事故報道に対する批判を「謙虚に受け止め、医療報道を深化」させた結果、 「低医療費政策」と「医師数抑制策」の問題点を強く訴える報道で、成果を出したと訴えている。
文書配布は日薬連の木村政之理事長に毎日新聞社の役員らが要請、
木村理事長が竹中登一会長に相談したうえ、 認められた。
「広告出稿の障害をできるだけ取り除きたいという思いがある」(毎日新聞関係者)という。