【ワシントン時事】沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題をめぐり、米政府が長期戦の構えに
入った。キャンプ・シュワブ沿岸部に移設する現行計画見直しは拒否し、決着まで同飛行場を
継続使用せざるを得ないとの考えを伝達。こう着状態に入れば、日本側の情勢を見極めつつ
協議再開のタイミングを探る方針だ。
米政府は普天間代替施設に関し、
(1)有事の作戦や平時の訓練に十分対応できるか
(2)周辺住民との関係で基地の安定使用が可能か
(3)実際に施設を建設できるか
−の3条件を重視、既に日本側へ内々に伝えた。シュワブ陸上案やホワイトビーチ沖合埋め立て案
は現行案より住宅地に接近したり、住民の反対も強かったりなどで、安定使用と実現可能性の面で
問題があると判断している。
米側は過去の政府間協議で、シュワブ内の演習場を一部つぶす陸上案について「訓練場所が減る
だけでなく離着陸中の航空機の近くで砲撃演習を行うのは危険」として却下した経緯がある。
鹿児島県徳之島など県外案は、沖縄に残る地上部隊と航空部隊の一体性を維持できず論外との姿勢。
これらの代替案が正式に示されれば、改めて拒否の理由を説明する考えだ。
オバマ政権は発足に際し、在日米軍再編に関する従来方針は踏襲すると決定した。その線に沿い、
昨秋に訪日したオバマ大統領は「基本は守るべきだ」と現行計画履行を要請。米議会に対しても、
この立場で沖縄海兵隊グアム移転費の承認を求めており、安易に妥協できないのが実情だ。
問題をこじらせた日本側への根深い不信感もある。計画を見直したところで移設が実現するか
疑問視しているため、鳩山政権の行方や今秋の沖縄県知事選に向けた情勢などを注視する必要が
あるとの見方を強めている。
鳩山由紀夫首相が公約した「5月決着」について、米側には早い段階から悲観論があった。
米政府関係者は、昨年末の時点で移設問題解決に先立ち同盟深化協議に踏み切ったのは、
「再度の問題先送りを想定し、今年11月の大統領再訪日に傷を付けない危険回避策」と説明する。
▽時事ドットコム
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