・日本ユニセフ協会大使のアグネス・チャン(54)が、事実上の内戦状態が続くソマリア視察から
このほど帰国。子供たちの窮状を目の当たりにし、根強く残るFGM(女性性器切除)という独特の
習慣に衝撃を受け、根絶に向けて活動をスタートさせたことを明かした。16日に、32年ぶりに開く
東京・日本武道館公演で、視察報告と今回の体験を踏まえた新曲で世界の平和を訴える。
ソマリアへ向かったのは、2月15日。23日に帰国するまで北部のハルゲイサに6日間滞在して
市内各所を見学したり、暫定政府関係者、女性リーダーらに面会した。
会見で、これまで見てきた難民キャンプとの違いをたずねられたアグネスは、「最低限の
サービスがない」と訴えた。公的機関のオフィスがあり、名前や家族構成などが登録され
アイデンティティーが保たれるが、ソマリアでは「スラムと同じ」だった。
同行したジャーナリストのグループが、石を投げつけられたこともあったという。
女性として衝撃を受けたのは、FGMの現状だ。アフリカで古くからの風習として行われてきたが、
非衛生的かつ暴力的に“施術”されるため、女性はショック死したり、妊娠・出産時に命の危険に
さらされることが多くなる。感染症の原因にもなるほか、生涯にわたって心身に影響が残る。
世界中から非難の声が上がっているが、一向になくならない。ある日突然、少女が襲われる
ような形で“処置”される様子は、「まるでホラー映画」と表現。
「自分を守れない子どもに無理やりやることはない」と怒りをこめ、アグネスは根絶に向けた
動きを明かした。宗教学者に教典を精査してもらい、女性の性器切除を正当化するような
記述はないことを確認、指導的立場の人たちを根気よく説得していく、女性リーダーを
育て村ごとに根絶宣言を進めるなどだ。
「ソマリアというと海賊とか危険というイメージしかないと思う。戦争は終わらないし、希望が見えない。
だったら私たちが希望になってあげましょう」。新曲を書き下ろして、平和へのメッセージを全員で
歌い上げたいという。(抜粋)
http://www.chunichi.co.jp/chuspo/article/entertainment/news/CK2010030802000177.html