【大阪】お遍路ブーム 深江の菅笠人気

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1出世ウホφ ★
ここ何十年、細々と生産が続いていた大阪市東成区・深江地区の菅笠(すげがさ)が、折からの「お遍路ブーム」で、
人気を盛り返している。江戸時代に伊勢参りの道中、お守りとしても使われた由緒ある〈ブランド笠〉を守ってきた
地元の主婦らは、「今になって売れるとは」と驚いている。

太くて丈の長い菅が自生し、大阪から伊勢神宮に向かう街道沿いに位置する同地区は江戸中期、
菅笠の一大産地として栄えた。歴代天皇即位式や、伊勢神宮で20年に1度行われる「式年遷宮」に納められ、
上方落語の演目「東の旅 発端」にも登場する。

生活様式が西洋化して需要がなくなったことから職人が減り、せめて式年遷宮に備えるためにと、
1987年に主婦らが「深江菅細工保存会」(7人)を作り、技術をつないできた。

長らく、年に数枚程度の生産だったが、団塊の世代が定年を迎え、健康ブームから四国霊場
八十八か所を巡る遍路が注目され始めた2007年から、年に30枚前後注文がくるようになった。
保存会が受注できる精いっぱいの数だ。

竹の骨組みを使って針で丁寧に縫い、完成まで1週間かかるため価格は1万〜1万2500円。
ずっと安価な品も出回るが、本物を求める人たちが人づてに聞きつける。夫婦で2枚購入した
大阪市浪速区の無職、住吉昭雄さん(66)は「美しく丈夫で、長い遍路旅も快適に歩ける。
伝統の重みは値段には代えられません」という。

都市化で菅の栽培が廃れ、近年は富山産の菅を使っていたが、2年ほど前に菅田をよみがえらせ、
昨夏から純深江産が復活した。

保存会メンバーの山路幸子さん(61)は「思わぬきっかけで注目されて、
一針一針丹精込めて縫ってきたかいがありました」と話している。

(2010年2月25日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20100225-OYT8T00103.htm
菅笠作りに追われる保存会のメンバー(大阪市東成区で)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100225-756488-1-N.jpg