【バンクーバー=松尾理也】五輪開幕日の12日、世界屈指の高速コースとされる
ウィスラー・スライディングセンターで悲劇が起きた。リュージュの公式練習で
グルジア選手が死亡したコースは、最高速度が時速150キロ超にもなるといわれる
難所。高度な操作技術を要するコース設定は、2007年のオープン以来、疑問視
されていた。
同コースでは事故が続いていた。10日にはルーマニアの女子選手が転倒し、一時は
意識不明に。12日には男子1人乗りで五輪3連覇を狙う名手ツェゲラー(イタリア)
までが壁に衝突した。
英紙デーリー・テレグラフによると、国際リュージュ連盟のジョセフ・フェント会長は
「最高速度を時速137キロと想定していたが、現実にはさらにスピードが加算されている」
として、設定に問題があるとした。別の関係者によれば、加速しやすい直線的なコースに
多彩なカーブがからみ、転倒しやすい要素が潜んでいるという。
死亡したクマリタシビリ選手は21歳で、ワールドカップ(W杯)ランキングは44位。
W杯などの国際大会への参加は昨季から。経験が豊かとはいえず、今回の事故は選手の技量
も一因とする見方がある。一方で、死亡した選手が打ち付けられたコース脇の鉄柱に保護
カバーがなかったことなど、安全面への配慮が希薄という指摘もある。
大会組織委員会はリュージュを13日から予定通り実施すると発表。警察と同連盟による
原因調査で、コースに欠陥はないと結論づけられた。だが、コースの氷質と事故現場付近に
あるカーブの壁の形状を修正して競技を実施する“灰色”決着で、
選手からは「(目標は)生き続けること」という皮肉まで出ている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100214-00000020-san-spo