(
>>1のつづき)
窪田 実はこの本の冒頭で、かつて朝日新聞が一面を使って掲載した世論調査に「情報操作」が
あったケースを紹介しています。これは朝日新聞のさる編集委員が『新聞批評』という業界誌に
発表した論文を引用させていただいた。自分の新聞に対して非常に厳しい目をむけ、「悪しき誘導」と
表現していて素晴らしいことだと思って、こういう話を業界紙ではなく新聞の一面で読者に伝えて
いないのは残念だと書いたんです。
すると、ご本人から朝日新聞の本社に呼び出され、「私はオピニオン面で評論家の宮崎哲弥氏との
対談でこの問題にふれている」とお叱りを受けた。それが朝日新聞の読者800万人に伝わっている
事実なのかはさておき、「それは気づきませんでした」と謝りました。それはいいのですが、驚いたのは
そこで「朝日新聞の世論調査がインチキだというように読めるじゃないか」と怒られたことです。
「私は世論調査を是正するために努力をしたのに、こんな書かれ方をしては台無しだ」と。
上杉 「是正する」ということは、世論調査が正しくないことを認めていることじゃないですか(笑)。
窪田 でも面白いなあと思ったのは記者クラブと同じように、世論調査はメディアにとってアキレス腱の
ひとつ。自分たちが、世論誘導していることを薄々感じているのです。
上杉 痛いところをつつかれると逆ギレするか、無視するしかない。でも朝日新聞に逆ギレする勇気は
ないんじゃないでしょうか。
窪田 最近よく「新聞は最も信頼できるメディア」だという世論調査の結果がでていますが、
それはこのような質問をしているから。「2ちゃんねるのような巨大掲示板やブログには誹謗中傷が
ありますが、新聞についてはどのように思いますか?」――。誰だって「信頼できる」と答えるに
決まっているじゃないですか(笑)。
上杉 まさに誘導尋問ですね。