2009年に国内の上場企業が公募増資で調達した額が約5兆円に達した。バブル経済崩壊後では
最大規模だ。金融、電機などの大企業による巨額増資が目立つ。株式の供給過剰感を招き、
一時は株価の足も引っ張った。年明け以降も増資が続くとの見方は根強く、市場の不安材料となっている。
金融情報サービス会社アイ・エヌ情報センターによると、各社が今月中旬までに公募増資で
調達した額は、4兆9475億円。同社の集計がある1991年以降で最大だった
06年(1兆6371億円)の約3倍だ。予定発行株数を超えた追加販売分も含めると
5兆4360億円(トムソン・ロイター調べ)にのぼる。
主役は大手金融機関だ。金融危機で傷んだ財務基盤の修復に加え、資本の質の改善を求める
国際的な規制強化の流れが、背中を押した。三菱UFJフィナンシャル・グループの調達額は
追加販売分を含め1兆313億円。3メガバンクだけで約2兆4千億円になる見通しだ。
野村ホールディングスも年2回の増資で約7100億円を調達した。
金融関係以外でも、名門企業の歴史的な増資が続いた。日立製作所は27年ぶりの公募増資で
約3000億円を調達。09年3月期に7873億円もの純損失を計上し、自己資本比率が
半減したためだ。日本郵船も40年ぶりの公募増資に踏み切った。
相次ぐ巨額増資のあおりで投資家の資金が干上がれば、他の企業が思うように調達できなくなる
恐れも出てくる。野村証券の藤田貴一ストラテジストは「年明け以降も銀行の大型増資が続くとの
見方から、前倒ししてでも先に資金調達したいとの思いが広がっている」と指摘する。
09年の公募増資46件の払込日を見ると、約3割にあたる14件が12月に集中。
「駆け込み」の動きを裏付けている。
*+*+ asahi.com 2009/12/27[09:33:47] +*+*
http://www.asahi.com/business/update/1226/TKY200912260325.html