インターネットの掲示板で横行する差別書き込みの早期発見と拡散防止を図ろうと、尼崎市は掲示板などを
定期的に監視するモニタリング事業の準備をしている。来年度から始める予定で、兵庫県内では初の試み。
差別書き込みについては削除をプロバイダー(接続業者)に要請し、応じない場合は法務局に通報する。
市が中心となり、関係団体、地域と協力して取り組む。パソコン5台を用意。市民も交えた数人のチームを組み、
月、金曜の週2回、2時間ずつ掲示板などを点検する。
調べる対象は、尼崎に関係しており、人権を侵害したり差別を助長したりする書き込み。書き込みに対する反論は、
効果を見込めないため、しない。削除を要請し、特に悪質なケースは警察へも届けるという。
同市では、部落差別に基づく事実無根の中傷で特定の市職員をおとしめるホームページ(HP)を作成したとして、
現職の課長補佐が名誉棄損の疑いで書類送検される事件が起き、2007年7月、課長補佐が否認したまま最高裁で
有罪が確定した。
全国的にもインターネットを利用した人権侵犯事件は、匿名性を悪用して急増。法務省の調べでも08年度は
前年度比23%増の515件だった。
市は、こうした問題に素早く対応するため、モニタリング事業に予算32万円を当てる計画。人権問題の現状を学ぶ
研修と位置付けて、各課の職員が当番制で担うことを検討している。同様のモニタリング事業は、奈良県で県と
全市町村が共同して03年から行っている。
尼崎市人権課は「実態を把握することを啓発にもつなげたい。差別書き込みを抑止する効果を期待している」と話している。
ソース
神戸新聞
http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0002582263.shtml