「群馬県として確認の必要はないのか」。13日の群馬県議会決算特別委員会。
八ツ場(やんば)ダムの予定地の上流で、国土交通省が環境基準を超えるヒ素を
毎年検出しながら公表を避けていた問題が議題に上った。大沢正明知事は
「いずれ(国交)大臣がすべて責任を持って再検証すると言っている」とかわした。
ダムが計画されていた吾妻川流域の水質問題は、計画浮上から半世紀を過ぎても
完成しない八ツ場ダムよりも、古い歴史がある。
ヒ素だけではない。水が強い酸性なのだ。
火山の草津白根山を水源とするため、硫黄鉱山や温泉地が多いからだ。戦前の1937年には
下流の作物に被害が出て、県に「毒水」調査委員会が設置されたほどだ。
吾妻川はかつて、「魚もすまぬ死の川」と呼ばれた。八ツ場ダム計画が地元に伝えられた
52年から55年に、国はダム予定地で鋼板やコンクリートを川水に400日さらす実験をした。
すると鋼板は8割、コンクリートは1割前後が溶けた。酸性ほど数値が低くなる水素イオン濃度(pH)は
当時pH2〜3。レモン果汁並みの「強酸性」。ダム計画は一度は消えた。
その後、「世界初」の触れ込みで63〜65年に造られたのが、酸性水をせき止める品木ダムと中和工場だ。
八ツ場ダムの予定地から北西へ約10キロの山中に、緑と白の絵の具を溶かし込んだような湖面が広がる。
温泉水が流れこむダム湖は「上州湯の湖」と呼ばれ、近づくと卵の腐ったような硫黄のにおいが鼻につく。
ダム湖に注ぐ三つの河川の上流は、いずれもpH2〜3。中流に設けた中和工場で石灰液を常に投入し、
人工的に化学反応を起こしている。pH値を上げる代わりに鉄やアルミニウムの水酸化物ができるので、
品木ダムに水をため、水酸化物を沈殿させて水と分離させている。
http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY200911130458.html http://www.asahi.com/national/update/1114/TKY200911130458_01.html 2に続く
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