【国際】宇宙ごみでもうけましょう! ロシアの宇宙開発企業が、「掃除宇宙船」開発で巨利を狙う構想

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123名無しさん@十周年
デブリ排除にあたって、誰でも簡単に思いつくのが、宇宙船で拾って歩く方法だ。
しかしそれにはとんでもないコストがかかる。拾うというのは相対速度を合わせる
ということだが、それはとりもなおさず、デブリの数だけランデブー作業をするという
ことだ。つまり精密な軌道計算と膨大な推進剤が必要になる。だから、相対速度
には目をつぶって位置と時間だけを合わせる、という手順を踏むことになる。
この場合、デブリは秒速数キロの相対速度で突っ込んで来る。ゴムやスプリング
では受け止められない。それらの収縮する速度を超えているのだ。形を保ったまま
の回収は不可能な速度であり、破壊が前提である。

接触したデブリはストランドが縮むより早く進入して来る。進入しながら鋼線を蒸発
させて行き、自身も蒸発する。デブリの運動エネルギーは速やかに熱に変換されて
行く。熱が沸点を越えると物質は気化し、爆発を起こすのだが、爆風はストランドの
編み目から逃がされる。ストランドにはトンネルが穿たれるが、破壊されることはない。

クリーナーの中を数十メートル進むうちに、デブリは完全に気化するか、少なくとも
運動エネルギーを失った細片になる。気化したガスは拡散し、細片はからめとられる。
最終的にクリーナーから放出されるのは、1センチ以下の微小な破片と、これも
1センチ以下の切断された鋼線と、ガスと熱である。いずれも宇宙船を破壊しうる
ものではない。これが、クリーナーがデブリを断細化するメカニズムである。最大で
1メートルほどのデブリも断細化可能とされ、その寿命は、百トンの自重を動かす
推進剤が尽きる直前まで。推進剤がなくなる前にクリーナーは大気圏に落とされ、
燃え尽きる。

【小川一水『第六大陸』】
http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/20727.html
宇宙開発モノ好きは必読。