一般公募の市民100人が参加する「LIVE!憲法ミュージカル2009」が、7日の昭島市民会館を
皮切りに各地で上演される。演目は諫早湾の干拓事業を題材とした「ムツゴロウ・ラプソディ」。
政権交代に伴う公共事業の見直しが進んでいる折だけに、ミュージカルの作り手や出演者らは
「公共事業の課題を多くの人々に考えてもらうきっかけに」と意気込む。
物語の始まりはかつて約3千ヘクタールの干潟が広がっていたころの諫早湾。ムツゴロウやシオマネキ、
水鳥たちに扮した出演者100人が乱舞し、舞台狭しと躍動する。
水門が下ろされて湾が閉鎖された1997年4月の場面から舞台は暗転、死の危機に直面した干潟の生き物や、
不漁に見舞われ借金がふくらむ漁師たちの苦悩が描かれる。生存権、財産権、幸福追求権。憲法が定める
様々な権利が浮かび上がる。
今回初めて参加し、ムツゴロウや漁師を演じた昭島市宮沢町の農業、加島克利さん(44)は、
「出演者の間で諫早湾のことを学習して、干潟の生き物や漁師になりきるよう努力した。公共事業は
だれのためのものなのか、観客にも思いを伝えたい」と話す。
諫早湾を巡っては、沿岸の漁民が潮受け堤防の開門を求めて提訴し、昨年6月、佐賀地裁が5年間の
開門調査を国に命じた。しかし国は控訴、すでに入植農家が干拓地に入り、水門開放による農地への
塩害の影響も指摘されている。
与党となった民主党は、今回の衆院選の党政策集のなかで、開門の方針を掲げている。
だが、地元の党組織は賛成する佐賀県連と開門に慎重な長崎県連に分裂し、調整に手間取っている。
脚本・演出の田中暢(のぶる)さんは、「政権交代ですぐに水門が開く状況ではないが、風向きは変わった。
遠い九州の話ではなく、東京にいる我々の問題と感じてほしい」という。
公演は7日の昭島市民会館を皮切りに、15日はパルテノン多摩、23日は武蔵野市民文化会館、
29日は立川市市民会館となっている。料金は一般2500円、高大学生2千円、中学生以下1500円。
問い合わせは事務局。
[朝日新聞]2009年11月06日
http://mytown.asahi.com/tama/news.php?k_id=14000000911060001