国の遺棄化学兵器処理事業をめぐり、大手建設コンサルタント会社「PCI」に不要な事業委託費を
支出させて約1億2千万円の損害を与えたとして、特別背任罪に問われた同社元会長、
荒木民生被告(73)の判決公判が2日、東京地裁で開かれた。朝山芳史裁判長は「支出に違法性は
なかった」として、無罪(求刑懲役3年)を言い渡した。検察側は控訴する方針。
朝山裁判長は、事業委託費の支出について「経営不振のグループ会社を支援するための支出。
この支出によってPCIが倒産の危機にひんしたわけでもない」と指摘。「グループの経営判断として
一定の合理性を持っており、特別背任罪にはあたらない」と検察側の主張を退けた。
検察側は「PCIを長男の借金問題の解決に利用するなど私物化し、財務状況を悪化させた」などと
主張していた。
荒木元会長は平成16−17年、遺棄化学兵器処理機構からPCIに委託された事業の一部を外注する際、
同社元社長の森田祥太被告(68)=法人税法違反罪で有罪判決、控訴中=に指示を出し、経営が悪化
していたグループ会社を介在させて不必要な支出をさせ、PCIに損害を与えたとして起訴されていた。
事件をめぐっては、東京地裁が9月18日、共犯とされた森田被告の審理で、法人税法違反(脱税)に
ついて有罪とする一方で特別背任は無罪とし、検察側が控訴している。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091002/trl0910021022002-n1.htm 依頼