高速道路を無料化した場合の経済効果について国土交通省が2年前に試算を行っていたことが明らかになった。
一般道の渋滞が解消されることなどから、直接の経済効果を2.7兆円と見込んでいる。これまで政府は
「試算は存在しない」として隠してきた。民主党の公約に有利な結果だったため、公表しなかった可能性がある。
試算は07年度に国交省の国土技術政策総合研究所が実施した。政府が08年度以降に検討していた高速料金
値下げの影響を調べるためだった。だが、政府は国会答弁や質問主意書への答弁書などで高速道路無料化の
経済効果に関する試算について「国交省が取りまとめたものは存在しない」などと存在を否定してきた。
朝日新聞の取材に対し、同省道路局は試算の存在をこれまで認めてこなかった理由について、「『検討段階』
だったため」と説明している。
朝日新聞が入手した資料によると、「3割引き」「5割引き」「10割引き(無料)」の3パターンについて経済効果や
渋滞予想区間を詳細に調べている。無料の試算は、首都高速、阪神高速を除く高速道を無料化した場合のもので、
民主党公約と一致する。
経済効果は、(1)走行時間の短縮(2)燃費など走行経費の減少(3)交通事故の減少、の三つの効果を、国交省の
基準に基づき金額に換算した。
高速道自体の経済効果は、渋滞増加などで年間マイナス2.1兆円となるが、車が流れやすくなる一般道が4.8兆円の
プラスとなり、差し引きで「2.7兆円の効果が生じる」とした。利用者の料金負担の軽減分などを加味した別の計算方法では、
経済効果は7.8兆円に達した。 (続く)
朝日新聞
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