まずはじめに、「財源論」のバカバカしさを指摘しておこう。民主党のマニフェストについて、自民党
は財源の裏打ちがないと批判している。また、メディアまでも、ここが最大のウィークポイント
であるかのように財源の曖昧さや見通しの甘さを追及している。だが、財源問題など政権を取って
しまえば簡単に解決するのだ。
そもそも政府の予算とは、税収をどの分野に配分するかという政治プロセスの結果である。現政権
の税収配分は、自民・公明的な風味で配分されている。政権交代すれば、民主党的風味で配分されるだけ
のことだ。自公がその民主党的配分に反対なのは、政治的に当たり前。(略)財源が大変だ、と騒ぐのは
財務省の演出である。「予算は必ず作れる」を最もよく知るのは財務省で、そのための手品の品もある。
簡単なのは「埋蔵金」だ。昨年、一昨年の「埋蔵金バトル」でわかったように、与党が本気を出せば、
カネは出てくる。財務省も民主党に恩を売る意味で、財源を出してくる。この一事をもっても、財源論
が深刻でないことは明らかだ。財源はクリアできそうだが、そのクリアの仕方が国民の支持を得られるか
どうか。(略)自民党政権時代と比べて何がどう変わるか。
はっきりしているのは、既得権が、土建、農協、文教族から、自治労、農家、日教組に移ることだろう。
変化は重要である。政権交代は民主主義を根付かせるために必要だし、ある程度の期間が経てば、既得権者の
入れ替え戦も行うべきなのだ。
来る選挙が、本格的なマニフェスト選挙の様相を見せているのは、望ましい。ただ地方分権や年金では自民も民主も
合理的な選択肢を提示できていない点はとても残念だ。もうすこし日本が成熟する必要があるのだろうか。
(8月5日発売号のテキストを記者がおこしました)
http://kodansha.cplaza.ne.jp/wgendai/article/090803/top_02_01.html