【トムラウシ山遭難】 複数の客、出発前に「中止した方がいい」とガイドに…出発後も「引き返した方が」と訴えるも、ツアー続行される★5
事故から数日が経ち、無事に帰宅したツアー客の何人かが記者団の取材に応じた。
「はっきりと覚えています。最初に体調を崩し動けなくなった方に対処するため、
ガイドたちは後退して戻っていった。
我々はその間、その場に待機していました。
恐ろしい強風と耐えられないほどの冷たい雨のなか、じつに90分。
その間、ガイドからは何の連絡、指示もなく、そのまま立ちすくむ私たちは
急速に体力を失ったんです。そしてついに、
客の1人が奇声を発するようになった。恐怖と寒さで限界を超えてしまったんですな。
私はこのような無責任な放置に許せなくて、大声を出してガイドに指示を求めた。
「とにかくはやく、救難要請を出したほうがいい!」
ところが、女性社員の判断は、連絡をしないことだった。信じられませんでした。
そしてそのまま、若い男性と女性社員の先導で再出発することになりました。
だけど、もう遅すぎた。次から次へと座り込む方が続出。
その女性社員も体調を崩した方たちとともに離脱しました。
あとは体力に自信があるという若い男性(元自衛隊員)が先導し、
そのまま強行下山することになったんです。
ところが、彼はあろうことか先頭をぐんぐん駆け下り、
体力の落ちた我々は散り散りになってしまいました。
私はいちばん最後を引き受け、他の方々に杖を渡したり、ときに引っ張ったり、
懸命に努力しました。でも、一人、また一人とその場にうずくまり・・。
結局、私は、若い男性ガイドとは離れ自力で下山したも同然です。
悔しい、本当に悔しい。「帰りたい」「歩けない」、みなの声が忘れられません」