県医師連盟や県歯科医師連盟は昨秋、小選挙区の自民候補に推薦を決定した。とりわけ、
厚生政務次官や衆院厚生労働委員長などを歴任した2区の鈴木俊一氏は、
業界のため活動してくれる議員として重視する。医師育成や医療体制保持のため、
改革の名の下に進められる社会保障費抑制を解除したいからだ。 「全面支援します」。
15日、盛岡市内の県歯科医師会へあいさつに訪れた鈴木氏に箱崎守男会長は約束した。
日本歯科医師連盟の堤直文会長らも2区入りを計画する。1区の高橋比奈子氏も「医療福祉が分かる」として
強力に支援する方針だ。高橋氏の後援会副会長を務める県歯科医師連盟の小山田勇樹常任理事は
「仮に野党でも、議員になれば質問できる」と期待する。
長年自民を支えた業界組織が、自主投票などと離れていく中、両連盟の動きは際立つ。
千葉伝県連幹事長は「長年の実績がもたらしたものだ。ありがたい」と話す。 社会保障費抑制で苦しむのは
医療ばかりではない。「郵政選挙」後、障害者に施設などの利用料負担を求めた障害者自立支援法が成立した。
介護保険も00年の制度開始後、2度報酬が引き下げられるなど、施設は人材確保や運営苦にあえぐ。
奥州市水沢区の知的障害者授産施設「ひまわり園」は、障害者自立支援法施行後、国から出る報酬が約2割減り、
辞めた正職員の穴はパート職員で補充するなどした。
当初より額は下がったものの、利用者に負担を求める苦痛も続く。
「さようなら」、一日の仕事を終えて帰途につく利用者たちを職員が見送った。施設長補佐で、きょうされん岩手支部事務局長の高橋モリコさんは、見送りの笑顔を収めて言った。「支援法を廃止し、障害者の自立とは何か、一から制度を考える必要がある」
だが、福祉団体は、選挙への組織的関与や特定政党支持をしない姿勢を、次期衆院選でも変えていない。
こうした中、DPI(障害者インターナショナル)日本会議(東京都)など、一部で政党や候補に福祉について
アンケートを取ろうという動きがある。DPIの尾上浩二事務局長は言う。「前回衆院選で、こういう現状を
有権者が考えられただろうか。
各党のマニフェストを見た上で質問を作り、しっかり政党の考えを有権者に示したい」
http://mainichi.jp/area/iwate/news/20090719ddlk03010003000c.html