【文化】“アニメの殿堂”は必要か? 細野不二彦氏、里中満智子氏が賛成・反対それぞれの主張 産経新聞・金曜討論★2

このエントリーをはてなブックマークに追加
4春デブリφ ★
(>>3の続き)
 ≪里中満智子氏≫

 文化や経済に貢献

 −−国立施設がなぜ必要なのか
 「不況でハコモノはいかがなものかという時期に、補正予算で決まるとは思わなかっ
た。本来はもっと前にできてしかるべきだ。しかし、ここで計画が流れると、あと20
年は実現しないだろう。やるとなったわけだから前向きに考えたい。美術館や博物館の
場合は文句が出ないのに、なぜ漫画やアニメだと批判が出るのか。文化貢献をして経済
効果もあげている。この分野では世界からリーダーと思われている国なのに、国がこれ
に光を当てないのはおかしい」
 −−漫画家やアニメーターの待遇改善が大切という声が強いが
 「一時的にお金を使うより、若い人たちに希望と意欲を持ってもらうための育成と顕
彰、発表、発信の場をつくりたい。韓国は経済危機に陥ったとき、文化行政にお金をか
けた。資源がない国だから売れるのは文化だと、漫画も国をあげてヨーロッパに売り込
んだ。国として海外に発信する態勢を整えれば、結果的に経済効果が上がり、業界に還
元される。(展示や収集、保管などに加え)人材育成もセンターの重要な機能の一つに
あることを理解してほしい」

 世界の文化遺産に
 −−漫画原画の保存の意義を訴えているが
 「1950年代から60年代が日本の漫画におけるルネサンス期だと思うが、すでに
読めない作品も多く、原画の保存状況のひどさには愕然(がくぜん)とする。海外の人
からは『世界のトップを走っている分野なのに、なぜ国立の施設がないのか』とよく聞
かれるが、その評価の土台を築いてくれた先人たちに感謝と尊敬の念を表すには、その
作品を再現することが大切だ。しかし、原画がないとそれができない。今ならまだかろ
うじて間に合う。それに、原画の保管場所がないので預かってほしいという漫画家や遺
族もいる。100年後の人たちに、この文化を研究する資料を残すためにも原画の収
集、保存、補修、デジタル化する施設は必要。世界の文化遺産になるという想像力を持
ってほしい」
(続く)