【科学】「傷口につば→早く治る」メカニズムの一端解明 松本歯科大

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1かなえφ ★
 口の中に傷ができると、唾液(だえき)に含まれるたんぱく質の一種「ヒスタチン」が
別のたんぱく質と結合して、歯肉細胞を増殖させて傷をふさぐことが、松本歯科大
(長野県塩尻市)の王宝禮教授(歯科薬理学)と今村泰弘講師(同)のグループの
研究でわかった。

 「傷口につばをつけると治りが早い」という言い伝えのメカニズムの一端を解き
明かすもので、米科学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」電子版に
論文が掲載された。

 ヒスタチンに歯肉細胞を増殖させる作用があることは知られていたが、その原理は
分かっていなかった。

 研究グループは歯肉細胞にヒスタチンを加え、観察を継続。その結果、歯肉細胞内に
あって、熱などのストレスにさらされた際、歯肉細胞を保護する働きをする「熱ショック
たんぱく質」と、ヒスタチンが結合し、その後、歯肉細胞が増殖することが確認された。
熱ショックたんぱく質は、全身の細胞にある。

 王教授らは1991年、ヒスタチンが歯周病菌の活性を抑える働きをすることを発見。
以来、ヒスタチンには抗菌だけでなく、傷の治りを早める働きがあるのではないかとの
仮説に基づいて研究してきた。王教授は「この研究を発展させれば、口腔(こうくう)内の
傷の治療薬製造だけでなく、再生医療分野の研究にも広がる可能性がある」と話している。

読売新聞 2009年6月27日06時29分
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20090626-OYT1T01192.htm