佐賀県内の国道交差点で自動車を運転中にオートバイと衝突し、2人を死傷させたと
して自動車運転過失致死傷罪に問われた福岡市の男性会社員(24)の判決が17日、
佐賀地裁であった。
被害者参加制度が適用された裁判で、検察側は禁固2年を求刑したが、事故で重傷を
負った佐賀県内の自営業男性(31)は「禁固3年が適当」と意見を述べていた。
伊藤ゆう子裁判官は「重い刑を求める被害者参加人の意見は合理的」として禁固2年
6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。昨年12月に始まった被害者参加制度に
基づく裁判で、検察側の求刑を上回る量刑判断となったのは異例だ。
判決によると、被告の会社員は昨年9月8日朝、佐賀県小城市牛津町の国道34号交
差点を貨物自動車で右折中、対向車線を直進してきた自営業男性のオートバイと衝突。
男性に足の骨を折る重傷を負わせ、オートバイ後部座席の男性(当時30歳)を失血死
させた。
公判で、自営業男性は「被告側から自分に責任があるような発言があったと聞き、悔
しかった。1人の命が奪われたことも考えてほしい」と訴え、禁固3年が適当との求刑
意見を述べた。
伊藤裁判官は「被告の過失は一方的で重大。被害者男性に見るべき落ち度は認められ
ない」と指摘。「被害者や遺族に与えた苦痛や影響の甚大さを考えると、検察官の求刑
はやや軽い」とした。
自営業男性は弁護士を通じ、「執行猶予が付いたことに納得できない気持ちは残る
が、自分が参加することで刑が重くなったこと自体はよかった」とコメントした。被害
者参加制度については「直接被告に疑問点をぶつけ、口頭で回答を得ることができた点
は評価したい」とした。
一方、被告側弁護士は「裁判所の判断を重く受け止め、判断に従いたい」と控訴しな
い意向を示した。
■ソース(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090617-OYT1T00533.htm