フェミニストの主張の1つに「男が女に暴力を向けてはならない」という規範がある。これが誤謬であるのは以下のとおりである。
(1) 「男が女に暴力を向けてはならない」という規範は男尊女卑主義の下で正当化される考えである。
(2) 「男が女に暴力を向けてはならない」という規範は女の特権を主張する言明である。
(3) したがって、性差廃絶主義/男女平等主義下で「男が女に暴力を向けてはならない」という規範を唱えるという行為は、
一方で男尊女卑主義的な女の特権を維持しつつ、他方で男女間で平等を強いることであるため、結果として女尊男卑主義の表明となっている。
(4) それゆえ、「性差廃絶主義者による『男が女に暴力を向けてはならない』」という規範的言明は、2重の差別を含むものとなっている。
(5) 以上より、性差廃絶主義者は彼らの批判対象である男尊女卑主義者よりも差別的であるということが帰結する。
(6) 性差廃絶主義者はまた、批判対象と同様に男尊女卑という自己中心的な行為を行っているうえに女尊男卑までも行っているにもかかわらず、
批判対象を自己中心的であると批判するという重層的自己中心性を発露しているために、男尊女卑主義者よりも自己中心的であると言うことができる。
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